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あいの向こう側
第18章 色街慕情
『桔梗(ききょう)?
姐さまに客人をご案内して』
街の片隅にある、
置屋。
〔華蓮屋_かれんや_〕の楼主、砂羽(さわ)が声をかける。指先にはパイプがあり、煙がたゆたっていた。
わたしは『はい、ただいま』と酔客を姐さまである「乙葉太夫(おとはだゆう)」の部屋に案内した。
見習いとして働き始めた齢14のわたしは、
色事のいろはを未だ知らない。
着物を下さり、
お手伝いとして客人をご案内しながら修行に励む。
酔客は、
『おお?なんだ、お前もいけるじゃないかい』とわたしの肩に手を廻す。
『ふふ。ダメですよ。
これから姐さまとのめくるめく一夜を過ごすんですから………』笑いながらやんわり手を払う。
最近やっとあしらい方を覚えたばかり。
酔客は『だべなぁ』と下品に口を緩ませた。
奥の部屋に着く。
暖簾を開くと、
乙葉太夫が床(とこ)の横に正座していた。
『お客人さま、
お待ちしておりました。
心ゆくまで私と夢に堕ちませぬか………』手を揃え、深々と首(こうべ)を垂らす。
姐さまは儚い雰囲気を持つ。
口元に大きな黒子。切れ長の垂れ目。
紅は鮮やかで、
話すと前歯が除きわたしでも見惚れてしまう。
客人は飛びつかんばかりの勢いで姐さまにしなだれかかった。
簾を下ろし、
『………………ああ……………』と姐さまの淫らな声を背中で聴いた。
砂羽さまは上がってから、楼主になった。
噂では町の問屋の子息との縁談が破談になったという。しかし見習いのわたしには預かり知らぬところ。
___熱い。
姐さま_乙葉太夫_の艶やかな喘ぎを耳にすると、
わたしは体が熱くなる。
もうすぐ木枯らしが吹く季節だというのに。
未だ破瓜(はか)すらできてないのに、疼くのだ。
砂羽さまに断りを入れてから厠(かわや)に向かう。
わたしはそそくさと厠に入って尻を下ろした。
……………ああ。
指先で弄ると、粘いものがたくさん出ている。
(桔梗………桔梗、こちらへいらっしゃいな)
乙葉太夫さまは気取りもなく、わたしにすら世話を焼いて下さる。
(ほら、ゆっくり…………そう、開くのよ。
脚を…………いい子ね)
わたしの髪を撫でながら、
乙葉太夫さまは白く細い指先でわたしの芯を弄るのだ。
ちょろちょろ…………
尿が落ちていく。
わたしは構わずに、『乙葉太夫さま………』と囁きながら芯を弄る。