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あいの向こう側
第19章 ねぇ
『寝てくれる?
横に、腕を立てて頭を支えて。
………そう。涅槃像のように』

私は彼の言葉通り、
横臥した。
短く切った髪は邪魔にならない。

柔らかい陽が薄く差し込む。

糸くず1つ付けていない私の体は肌寒さに震えてしまう

彼の右手。
緑色の細長い棒が、
紙の上を滑る。

私は目を伏せ気味にした。

彼の右手が忙しく動く。
二つの眼光が私の髪の先から爪の先までくまなく駆け巡る。

同じ姿勢を保つのは案外難しい。

丹田に力を込め、
私はできるだけ無になる。

『はあ……………っ』

彼の唇から息が漏れる。
黒いヒゲに囲われた唇は、
紫色に近い。

無になろう。
なるべく、意識しないように。
私は言い聞かせる。
『……………ん…………
はあっ、』
彼の吐息は頻繁に溢れる。

いつものことだ。

油絵の具の匂い。
埃塗れの小さな空間。


カサカサカサカサカサカサカサカサカサカサ
彼の手の動きなのか、
風の音なのか。

考えないようにしておく。そうしないと……

『……………う~……………
ああ…………』
彼の悶絶を、気にしないように。

_______幾らか時間が経つと、
彼は『出来た』と告げた。


私は固まった体をゆっくりと動かし、
起き上がり衣服を被る。

彼は私をじっと見た。
『今日の分』5千円を私に手渡す。
私は受け取ると、彼の視線に目を合わせた。

紫色のかさついた唇。
喉仏が隆起し、戻った。私の下腹が熱くなる。
私は5千円をバッグに仕舞う。
『次は?』

彼はハッとし、『次は…………木曜日』と頭を掻いた。
『わかったわ。変更があるなら連絡してね』私はショートカットにしたばかりの落ち着かない横髪を耳にかけて部屋を出た。

歩いて近くのコインパーキングに向かう。
セダンを動かし4車線に合流する。


ジワッと脚の付け根にぬるいものが広がる。
私は『はあ…………っ』と熱い息を吐いた。







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