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あいの向こう側
第1章 凪に沈む
夫が居なくなった、
7年前のあの時。


親同然だったサカエは、
突然の訃報に駆けつけて梅乃を励ましてくれた。




転覆した漁船には4人乗っていたが……
3人は助かり亡くなったのは夫だけだった。


サカエは毎日梅乃の家に来ては背中を擦り『大丈夫だ、大丈夫だ』と呪文のように繰り返した。



――――木目調の天井を見ながら、
梅乃は声をころして喘ぐ。


年老いたサカエは健康体だ。
しかし……
欲望は指先のみに宿り肉体はもう勃起しない。



梅乃の作業ズボンとショーツをおろし、
秘部を弄るだけ…………………



1時間経ち、
サカエはレタスと三千円を梅乃に手渡した。

梅乃は『ありがとうねぇ…………』と頭を下げて自宅に帰る。


夕飯を作り、
独りで食べて後片付けをした。
風呂場にて湯を沸かし入浴する。

浅黒い肌。
ごわついた腕と脚。


夕方言葉を交わした若い女の肢体が脳裏に浮かんだ。

すらりと伸びた脚。
服の上からも見て取れた、膨らみ。
甘ったるい鼻声…
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