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あいの向こう側
第6章 水になる
わたしはこの家が好きだ。

小さく狭い。
1階はキッチン・バスルーム・トイレ、リビング。
2階に寝室と箪笥部屋、六畳ほどの書斎がある。


男性が『家に行きたい』と言い出しても、
やんわりと断ってきた。



―――わたしの空間はわたしだけのものにしたいだけ。
静に、過ごしたいだけ。







12下の彼は、
契約先の出版社に出入りしている業者だ。


よく顔を合わせる時期があり彼から声を掛けてきた。

わたしは彼の青臭さが眩しく、
欲しくなり会うようになった。


彼はわたしをキャリア志向の強い女性だと勘違いしているようだ。

いつも奢っているからお給料をたくさん貰っているキャリアウーマンのように捉えているのだろう。
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