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あいの向こう側
第7章 堕落する君と
(顔蒼白いし、
目玉焼きとサラダも付けるか)


俺は目玉焼きを焼いて、
手早くキャベツを千切りにした。


『ほら。
食べないと、本当に死んじまうぞ』


沙耶の目の前に置く。


沙耶はゆっくりと食べている。

俺はホッとした。


ホッとして目線が沙耶のカラダに向かってしまう。



(イカン、
これはまずい…)


自室に入ろうと立ち上がる。


すると、
沙耶の細っこい指が俺の手を握った。

『……座って、隣に居て』虚ろな瞳のままそう囁く。


俺は言われるままに隣に座った。

(うーわー、めっちゃ意識する!
落ち着け……)


言い聞かせる。

沙耶が凭れかかってきた。柔らかい乳房が、
右腕に当たる。


『……鮫島さん、ちょっとだけこうしてて……
元気出そうなの』
沙耶の掠れ声。

『お、おう。わかった…』とりあえず返事をする。

が………
チラリと見ると、
ショーツから伸びた太ももが細く白く美しい。


『………あの………
沙耶……沙耶ちゃん?』

(ダメだ…………)




――俺は自制が効かなくなった。
沙耶を引き寄せて抱きしめる。

沙耶が『あ……』とぼんやりした声を出した。

俺にはその腑抜けた声が、新鮮に聞こえた。
生気の無い声。



沙耶の後頭部に手を充て、唇を重ねた。


沙耶の咥内は少し生臭い。
………倒れ込んでいたからか………


俺はその臭いに突き動かされるように、
舌を捩じ込む。


沙耶は無反応だったが、
次第に舌で応え始めた。

『………ん……』

痩せて、窪んだ鎖骨。
唇を離して沙耶のそれに舌を這わせた。


沙耶がピクッと肩を震わせる。

その震えがヤシロの震えと被った。
『…………嫌?』
俺は動きを止めて、沙耶を真正面から見据えた。

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