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あいの向こう側
第8章 はこにわ
閑静な住宅街の一角。


白い一軒家がある。



『ただいま〜…』
和香はミュールを脱ぎ捨て、
1階の食堂へぺたぺたと歩く。




『―――ああ、お帰り。
お疲れさん』



オーナーが細く流木のような身体を浴衣で包んで椅子に座っていた。

『変な奴じゃなかったんだね?』
クスクスと笑う。




和香は『良いプレイだったよ、チップくれたし』
と素っ気なく返す。

水を飲んで『食べて来たから、お風呂入って寝るね』
と食堂を後にした。



背中に『おつかれさま』とか細いオーナーの声が届く。


オーナーは白い髭が特徴的な初老の男性だ。

白髪混じりの髪を一つに結わえ、
いつもタバコを咥えている。

和香は、
このオーナーが少しだけ苦手だった。


2階の小部屋へとかけ上がる。
『…う〜〜んん……うるさいなぁ…』2段ベッドから慈雨【じう】さんが寝返りを打ちながら唸る。


和香は無言でメイクを落とし、
下着を持って再び1階の風呂場へ向かった。



シャワーを浴びる。
長い髪を洗い、
丁寧にトリートメントした。
―――行くあてもなく、
身体を売り日銭だけ稼いでいた昔に比べたら天国だ。この一軒家にたどり着いたのはたまたまである。
同じような稼ぎ方をしていた子が道端で倒れて病院に付き添って行った。


その子の名前は忘れたけれど、
その子が泡を吹いて倒れ、青白い顔で事切れた瞬間だけは覚えている。

医者から『親御さんは?
あなた、保険証は無いの?この子の保険証は?』と詰問されていたら、
オーナーが間に入ってくれたのだ。


どう話を着けたのか、
和香は知らない。

『行くところがなかったら、ここに来なさいな』
と紙切れを渡された。
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