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あいの向こう側
第1章 凪に沈む
翌日、
手伝いが終わり帰路に着いて海沿いを歩いていると……
『……あ』
足を止めた。

『こんにちわぁ〜!
今日もお仕事帰りですかぁ?』
向かいから金髪の若い女が歩いてきた。


昨夜の喘ぎ声の主である。

やはり、
同じ鼻声だ。あの声だ…………

一方的だがばつが悪い。

『帰りだよ、
お嬢さんは散歩?』と取り繕う。


『うん、
海見ながら歩くのが好きなの〜』
またため口になる。

『帰ってゴハン作らなきゃ!
じゃーね、またねおばさん』
カツカツと踵を鳴らして去る女から甘臭い匂いがする………………………………………



がらがらと玄関の開き戸を開いた。


サカエは、
『梅か?
上がれや〜』と奥から叫ぶ。


座敷間に入るとサカエの瞳が梅乃を見ている。
欲望が宿っているのがわかった。

梅乃は、
割烹着を捲り脱ぎ捨てた。

サカエは驚いて目を見開いている。

梅乃は、
作業ズボンもショーツもおろしてサカエにしがみつく。

老木のように萎びた、
しかし力強い手が梅乃の身体を這う。


太股も浅黒くゴツゴツと硬い梅乃。

――――昔……
夫とセックスをした時。

淡白な夫はあまり欲さず、自分が終わると服を着て直ぐ鼾をかいた。

無骨な海の男。
初めてセックスをした夜、凹凸の少ない梅乃の身体を見て露骨にがっかりした表情を見せた……

次女が生まれてからは身体に触ることすら殆ど無かった。愛情は確かに存在したのに、性には結びつかなかったのだ。


……もう何時からだろう。
サカエは実子のように懇意に世話をした夫の嫁である私に、
欲望をぶつけている。


挿入をされ、
痺れるような快感を味わったのは初めてだった。


サカエが老いて不能になった今も……
指先が触れると梅乃は心が震える。


魅力的な女になったと錯覚できるから。


あの若い女のように絶叫し喘ぐことはない。
床が揺れるほど激しく動くこともない。



凪いだ海のように、
静かな欲望だけでいい。

それさえ在れば…………………………



梅乃は目をきつく閉じて、時折訪れる高波を待つ。


若い夫婦のセックスの様子が…細くしなやかな肉体が絡まる様子が、
まるで目の前で見てきたかのように生々しく瞳の裏側に映って消えた。














〔終〕

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