この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第73章        

「うふふ……」

 そう愛らしい笑い声を上げたヴィヴィに、振り向いた五十嵐が、瞳を細めて見つめてくる。

「どうされました、お嬢様?」

「ん~ん、なんでもないの。あ、この紅茶、とっても美味しいね」

(そもそも、五十嵐みたいな大の大人が、ヴィヴィなんか相手にする訳ないし……)

 もう一度茶器を手に取りこくりと飲んだヴィヴィに、五十嵐が微笑む。

「そちらの銘柄、匠海様もお好きなんです。お嬢様のお口にも合うのではと、ご用意してみました」

「そう。ヴィヴィも、これ好き。ありがとう」

 デスクに茶器を戻し、PCに向き直ったヴィヴィは、再生ボタンを押して動画を開始する。

 イヤホンから聞こえるのは、異様に甲高く聞こえる講師の声。

 けれど、ヴィヴィの耳はそれを音として捉えてはいても、言語としては理解していなかった。

(ふふ、くだらない……)

 先程の自分の考えを、頭の中で否定する。

 万が一、自分が兄以外の相手と性行為を持ったら、匠海はどうするか?

 答えなんて解り切っている。



 ――捨てられる。



 それでなくても、兄は自分を普通に抱くだけでは、興奮しなくなってきているのだ。

 これ幸いと、自分を切り捨てるだろう。

 それこそ、『人形』の手足をもぎ取り、身ぐるみを剥がして捨てるような、とても残忍なやり方で。

 だからという訳でもないが、自分は兄以外の誰もこの躰に受け入れない。

 受け入れたいとも思わない。

 そこまで落ちぶれてはいない――そう、思いたい。








 1月6日。

「Good Morning! Guys! & A Happy New Year!!」

 そう元気よく挨拶しながら教室に現れたヴィヴィに、既に登校していたクラスメイト達が、きょとんと見てくる。

「おはよ~。あれ、クリスは?」

「うす! 珍しいな、双子が一緒じゃないなんて」

 友人達のその反応に、ヴィヴィは紺色のニットを纏った華奢な肩を落としてみせる。

「クリスね~、3日前から高熱続いてて。今日はお休みするって」

「えっ!? インフルとか?」

 クリスの親友のアレックスが、心配そうに見つめてくる。

「それは無いって。風邪と過労みたい」

「みたいって?」

 ヴィヴィの返事に、アレックスが被せてくる。

/2774ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ