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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第73章        

「井戸の中にも、トイレにもいたりするじゃん?」

 マイクの指摘に、アレックスが、

「あ~! 『トイレの花子さん3 絶賛公開中!』」

と続ける。

「絶賛公開中?」

 ヴィヴィがそう言って首を捻る。

「ああ、そういうタイトルの映画、ヒットしてるんだ」

「ふうん」

 そこに「いやいや」とケイトが髪を弄りながら突っ込んでくる。

「トイレと言えば、ジェニファーでしょっ!」

「だよな!」

「なんで日本は、花子さんなんだ?」

「日本に多い名前なんじゃない?」

「俺、花子って女、会ったことないぜ?」

「確かに……」

 いつの間にか集まってきた、クリスを除いた総勢19名のクラスメイトが、やいやいと騒ぎ立てる。

「そういや知ってるか? BSTの七不思議、昔とちょっと変わってるらしいぜ?」

「へえ?」

「俺の妹、初等部にいるだろ? この前話してるの聞いてたら、俺達の頃のとちょっと違ってんの」

「今のって、どんなの~?」

 ヴィヴィが間延びした声でそう尋ねれば、皆が口々に自分の知っている学園7不思議を、それぞれ披露しだす。

 それをクラスリーダーが持ち前のリーダーシップを発揮し、ホワイトボードに書き留めていく。



 BSTの7不思議


  ① 学園のシンボル、ライオン君の銅像が、夜になると遠吠えをする

  ② トイレのジェニファーが上から覗いてくる

  ③ 理科室のホルマリン漬けの並びが勝手に変わる

  ④ PC室の13番目のデスクトップ画面から、

    トイレからワープしたジェニファーが出てくる

  ⑤ 中等部と高等部を繋ぐ渡り廊下の階段が、6段から7段に変わる

  ⑥ 初等部の校舎の前の花壇には、何を植えても枯れてしまう

   (吸血鬼の死体が埋められているから)

  ⑦ 学園長がカツラと言う事を本人に指摘した生徒は、

    何故か両親が米国のアラスカ州に転勤になる



「なんでジェニファーが、PCにワープしてんだよ?」

「昔はそんなの無かったよね?」

「時代の流れか?」

「あと、学園長のカツラは『ロシア最北端の都市』への転勤だったよな?」

「アラスカ州のほうが、現実味があって面白いんじゃない?」

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