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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第74章
そしてその視線の先にカレンがいる事を認め、駆け寄って抱き着いた。
「カ~レ~ン~っ! 心配したんだからねっ」
「う、うん……。連絡、しなくてごめん……」
そう言って笑ったカレンは、少し疲れているようにも見えた。
「センター街で遊んでたんだって? Wowっ!? 不良だ、不良だっ!」
抱擁を解いたヴィヴィが、傍にいたケイトの背に隠れ、カレンをからかう。
「ヴィヴィ、センター街は“不良の溜まり場”じゃないからね?」
『世間知らず』と思われているのだろう、ケイトがヴィヴィにそう訂正してくる。
「知ってるもんっ ヴィヴィ、109には行ったことある」
「へえ、意外~」
ケイトのその言葉に、ヴィヴィは嬉しそうに微笑む。
「うん。お兄ちゃんに連れてって貰ったの~」
「わあ、さすが“ブラコン”……」
「なんでさっ!?」
そうじゃれ合っていると、カレンが二人の前から離れていくのが目に入った。
「カレン? どこ行くの?」
ケイトが不思議そうに、そう呼び止める。
「あ……、担任に呼ばれてたの、忘れてた……」
そう言って笑ったカレンに、二人は手を振る。
「そう、行ってらっしゃい~」
「怒られないといいね?」
「うん……」
カレンが教室からいなくなると、ヴィヴィとケイトは顔を見合わせた。
「なんか、元気ない、カレン……?」
「ね……。そんなに怒られたのかな、昨日……」
「クリスは?」
ケイトが小さな声で、そう尋ねてくる。
「……変わりなく……」
小さく呟いたヴィヴィは、教室の隅で他の生徒と喋っているクリスを、ちらりと振り向いた。
「そう……」
「あっ! 聞いてっ! 昨日、おばけが出たんだよ~っ!!」
いきなりそう言って涙目になったヴィヴィに、周りの生徒達が「何言ってんのさ?」と突っ込んでくる。
「ホントだってば~! 信じてようっ」
ヴィヴィは昨晩のおばけ騒動を、事細かに説明して見せた。が、逆に、
「それは、篠宮家の地縛霊だ」
「いいや、篠宮兄が英国から連れてきたゴーストだ」
「トイレのジェニファーが、篠宮家のPCにワープしたんだ」
と散々苛められ、余計恐怖に陥ってしまったヴィヴィなのだった。