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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第74章
ランチを手早く済ませたヴィヴィは、3通の手紙を持ち、その宛先の生徒へと会いに行った。
皆、自分宛てにラブレターをくれた相手で、遅くなってしまったが、きちんと気持ちをしたためて返事を書いたのだ。
高等部3年の教室、1年の教室、そしてなんと、中等部3年の教室へそれぞれ赴き、頂いた手紙のお礼を伝え、自分の手紙を渡すと、皆それぞれ淋しそうに納得してくれた。
「………………」
(告白って、されたら嬉しいものなんだと、思ってた……。
ヴィヴィ、申し訳なさしかない……。
皆の“相手に伝わらない気持ち”、嫌って程分かるから……)
そう思いながら、とぼとぼと教室へと戻っていたヴィヴィは、中等部と高等部を繋ぐ渡り廊下で、ぼうとしているカレンを見つけた。
廊下の柵に両腕を乗せ、じっとどこかを見つめているカレンに、ヴィヴィは近づいてその肩を叩く。
「カレン……? どうしたの、こんなところで」
「あ……、ヴィヴィ……」
はっと我に返ったような表情を見せるカレンに、ヴィヴィは微笑む。
「こんな寒いところで、冷えちゃうよ? 予鈴なるし、教室戻ろう?」
「う、うん……。くしゅっ」
言った傍から可愛いくしゃみをしたカレンに、ヴィヴィは苦笑する。
「あ、ほら。駄目だよ~、女の子は、身体冷やしちゃあ~」
そう言って、その冷え切った片手を握ったヴィヴィに、今度はカレンが苦笑する。
「なに、その“婆さん”みたいな言い分」
「え~~?」
「それはそうと、ヴィヴィ、なんで中等部の方から来たの?」
カレンの質問に、ヴィヴィは言いにくそうに言葉を濁す。
「あ……、うん……。ちょっと、お手紙のお返しを……」
「ああ、なるほど……」
察したカレンが、小さく頷く。
「……カレン、よく告白されるじゃない?」
「よくって程じゃ、ないけど?」
ヴィヴィは人気のない階段の中腹で、足を止める。
手を握られていたカレンも、ヴィヴィの隣で足を止めた。
「嬉しい?」
ヴィヴィが10センチ背の高い、カレンを覗き込むように尋ねる。
「え? そりゃあ……、自分を好きになってくれる人がいるっていうのは、嬉しいよね?」
カレンは少し首を傾げながら、そう続ける。