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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第75章
自分の左手に、柔らかく暖かな感触を感じ、ヴィヴィは握る。
予想通り、クリスの手。
(クリス、おきたら、何して、あそぼうか……?)
お昼寝の後のお楽しみに思いを馳せ、ヴィヴィの小さな顔がふにゃりと緩む。
(いっぱい、いっぱい、あそぼうね、クリス……)
そしてまた夢の世界でも、クリスと一緒に遊ぶのだ。
それから幾時か過ぎ、二人に掛けられたのは、起床を促す声。
「お坊ちゃま、お嬢ちゃま。3時ですよ。おやつ、食べましょうか?」
朝比奈のその声に、ヴィヴィは小さな体を捩ってむずがる。
(まだ~、夢の中で、クリスとおままごとの最中……)
「ヴィヴィの大好きな、ヨーグルトアイスだよ? 僕、食べちゃおうかな?」
匠海の悪戯っぽいその声に、ヴィヴィはぱちりと瞼を上げた。
目の前にいるのは、優しい笑顔で自分を覗き込んでいる、大好きなおにいちゃま。
「たべるぅ~」
そう甘えた声を上げたヴィヴィは、匠海に右手を伸ばし、抱っこをせがむ。
「この甘えん坊め。しょうがないな。おいで」
「おにいちゃまっ」
(大好きっ!)
嬉しそうな声を上げたヴィヴィの体が、くんと後ろから引っ張られた。
クリスと繋いでいた左手の先、双子の兄が、少し寂しそうな顔で自分を見上げている。
「…………、クリスも、一緒!」
そう言って笑ったヴィヴィは、クリスの手を引くと、匠海の腕の中に飛び込んだ。
「お、重っ!」
6歳下とはいえ、最近重くなり始めた双子を両腕に抱え、匠海が苦しそうな声を上げる。
それでも何とか、少し離れた場所にあるテーブルへと運んでくれる。