この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第76章
1月11日。
早朝に仲直りをした双子は、結局朝練をサボってしまい、二人で母 兼 コーチでもあるジュリアンに、グループ通話の電話で謝った。
『で……、一緒にいるってことは、クリスの反抗期は終わったの?』
電話口のジュリアンはリンク内にいるらしく、後ろからはざわざわとした音が聞こえていた。
「えっと……」
ヴィヴィは返答に詰まる。
(反抗期、じゃなかったんだけど……)
「うん、終わった……。心配かけて、ごめんね……」
するりとそう謝ったクリスに、ヴィヴィは申し訳なくて、片手を立てて謝る。
『いいえ~~。ま、ヴィヴィにもなんか落ち度があったんじゃないの? 二人して、夜のレッスンの時、皆にお詫びしておきなさいよ?』
「は、はい……」
ヴィヴィはジュリアンの指摘に、どもりながら返事する。
(ふうん……。やっぱり母親なんだな。ヴィヴィに落ち度があってこうなった事、見抜いてたんだ……)
「分かりました……」
クリスもそう返事をし、通話を切った。
ゆっくりと屋敷で朝食を取った二人はそろって登校した。
そして後ろの入口から教室に入るなり、ダッフルコートを纏ったまま、揃ってぺこりと頭を下げた。
「ご心配、ご迷惑を、お掛けしました……」
クリスがそう丁寧に詫びて頭を下げれば、
「いっぱい心配掛けたのに、フォローしてくれて、本当にありがとうっ!!」
ヴィヴィはそうお礼を口にして頭を下げた。
そんな双子に驚いて互いの顔を見合わせたクラスメイト達は、一瞬静まり返った後に、それぞれ口を開いた。
「クリス……、反抗期、終わったのかっ!?」
アレックスのその質問に、
「うん……。大人げ無い事いっぱい言って、ごめん……」
とクリスが申し訳なさそうに謝る。
「あ、えっと、それ、違って、ヴィヴィが――」
慌ててクリスの謝罪を訂正しようとしたヴィヴィの口を、クリスが後ろから掌で押さえて遮った。
「モゴモゴ……っ!?」
「いいから……」
ヴィヴィの耳元でそう囁いたクリスは、ゆっくりとヴィヴィの口から掌を退けた。
ヴィヴィがクリスを振り返ると、その瞳は優しく細められていた。
(どんだけ優しいの……、クリス……)