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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第76章           

 1月11日。

 早朝に仲直りをした双子は、結局朝練をサボってしまい、二人で母 兼 コーチでもあるジュリアンに、グループ通話の電話で謝った。

『で……、一緒にいるってことは、クリスの反抗期は終わったの?』

 電話口のジュリアンはリンク内にいるらしく、後ろからはざわざわとした音が聞こえていた。

「えっと……」

 ヴィヴィは返答に詰まる。

(反抗期、じゃなかったんだけど……)

「うん、終わった……。心配かけて、ごめんね……」

 するりとそう謝ったクリスに、ヴィヴィは申し訳なくて、片手を立てて謝る。

『いいえ~~。ま、ヴィヴィにもなんか落ち度があったんじゃないの? 二人して、夜のレッスンの時、皆にお詫びしておきなさいよ?』

「は、はい……」

 ヴィヴィはジュリアンの指摘に、どもりながら返事する。

(ふうん……。やっぱり母親なんだな。ヴィヴィに落ち度があってこうなった事、見抜いてたんだ……)

「分かりました……」

 クリスもそう返事をし、通話を切った。








 ゆっくりと屋敷で朝食を取った二人はそろって登校した。
 
 そして後ろの入口から教室に入るなり、ダッフルコートを纏ったまま、揃ってぺこりと頭を下げた。

「ご心配、ご迷惑を、お掛けしました……」

 クリスがそう丁寧に詫びて頭を下げれば、

「いっぱい心配掛けたのに、フォローしてくれて、本当にありがとうっ!!」

 ヴィヴィはそうお礼を口にして頭を下げた。

 そんな双子に驚いて互いの顔を見合わせたクラスメイト達は、一瞬静まり返った後に、それぞれ口を開いた。

「クリス……、反抗期、終わったのかっ!?」

 アレックスのその質問に、

「うん……。大人げ無い事いっぱい言って、ごめん……」

とクリスが申し訳なさそうに謝る。

「あ、えっと、それ、違って、ヴィヴィが――」

 慌ててクリスの謝罪を訂正しようとしたヴィヴィの口を、クリスが後ろから掌で押さえて遮った。

「モゴモゴ……っ!?」

「いいから……」

 ヴィヴィの耳元でそう囁いたクリスは、ゆっくりとヴィヴィの口から掌を退けた。

 ヴィヴィがクリスを振り返ると、その瞳は優しく細められていた。

(どんだけ優しいの……、クリス……)

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