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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第76章           

「そっか~……。本当に、よかったぁ~……」

 ケイトがそう言って、ほっと息を吐き出せば、

「ほんとだよぉ~……。見守ってるこっちも、胃に穴開きそうだったよ~」

「いや、ジェシカの胃は、そんなヤワじゃないだろ?」

「なにお~っ!? やるか? ジェイソンっ」

 ジェシカとジェイソンがそうじゃれあう。

「しかし、双子がこんなに口利かなかった事なんて、今までなかったんじゃ?」

 マイクが双子の顔を見比べながら、そう尋ねてくる。

「うん。初めてだった。もう、二度とそうならないように、気を付ける」

 ヴィヴィがそう返事をした時、偶然、前の入口から静かに教室から出ていくカレンの姿を捉えた。

(カレンに、謝らなきゃ……。許してくれるかどうかは、分からないけれど……)

 ヴィヴィはそう思いながらその後ろ姿を見送っていたが、クリスに促され、ダッフルコートを脱ぎロッカーに直しに行った。









 午前中の授業を終え、お手洗いへと行っていたヴィヴィは、教室へ戻ろうと廊下を歩いていた。

(おっひっる~っ! お腹ぺっこぺこ~っ♪)

 16歳とは思えない無邪気さで、頭の中で歌っていたヴィヴィは、2年の教室の前にクリスを見つけ、声を掛けようとし――止めた。

 ?マークを頭の上に浮かべながら教室へ入ったヴィヴィは、近くにいたアレックスに尋ねる。

「ねえねえ、クリスと話してる女の子って?」

 見覚えの無いその女子に、ヴィヴィは首を捻る。

「ああ、高等部1年の、リサ……。ヴィヴィ、知ってるか?」

 アレックスはちらりと廊下のほうへと視線をやると、ヴィヴィに聞き返す。

「へ? 何を?」

「クリスとあの子――リサが、付き合い始めたって」

「ふ~ん、知らなかった……」

 そうさらっと答えたヴィヴィは、ランチタイムを満喫しようと自分の席へと戻り、

「―――っ って、ぇえ゛え゛ええ~~っ!?」

 ――絶叫した。

 大きな瞳をこれ以上ないほど見開き、その場に仁王立ちになったヴィヴィに、教室に残っていたクラスメイト数人が、呆れたように見てくる。

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