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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第76章
「ううん。ヴィヴィ、今自分のことで精一杯で、周りを思いやる余裕に欠けてる。
でも、こんなヴィヴィだけど、カレンと一緒にいたいの。
これまで通り、親友でいたいって思ってるの」
(幼稚舎の頃から、ずっと一緒だった。
ヴィヴィが馬鹿なことしても、笑い飛ばして、突っ込んで、
フォローしてくれて、いつも一緒に笑い合って育ってきた。
ヴィヴィはカレンに、大した事してあげれてないけれど……)
そう素直に気持ちを口にしたヴィヴィは、目の前のカレンの震える手を握りしめた。
最初に手を繋いだときは、二人とも葉っぱのように小さくふっくらした手だったのに、今ではスラリとした女の子の手へと成長していた。
「ヴィヴィ、私もっ」
泣きそうな表情でそう返してくれたカレンに、ヴィヴィはホッとして、微笑んだ。
「カレン、何か、辛い事があったんだね? 昨日からずっと元気なくて、気になってた」
ヴィヴィのその問い掛けに、カレンはぐっと詰まると、苦しそうに瞳を逸らす。
「……なんでも、ないの……」
そのカレンの様子に、ヴィヴィは頷く。
「そっか。言えない事ってあるよね。ヴィヴィも、ある……。
じゃあ、相談には乗れないけれど、
ヴィヴィのこの“Bカップの胸”でお泣き――っ!!」
ヴィヴィはそう茶化して言うと、ばんと掌で薄い自分の胸を叩いた。
その親友のおバカ加減に、カレンは破願した。
「あはは! バカっ ……でも、本当に、泣いていい……?」
「いいよっ いっぱいお泣きっ!」
もう既に泣き顔のカレンを、ヴィヴィは両手を伸ばして自分の胸に抱き寄せる。
その途端、カレンの体が震え、いつも大人っぽい彼女にしては幼い泣き声を上げた。
「ふぇえええ~~んっ」
悲しそうなカレンの泣き声に、ヴィヴィの胸もぐっと詰まる。
いつも気丈なカレンがこんなに泣くような事なのだから、余程の事があったのだろう。
しかし自分も人に絶対に言えない秘密を抱えているヴィヴィは、無理に追求する気は毛頭なかった。
今の自分が出来るのは、胸を貸す事と、その背を抱きしめ、頭を撫でてあげる事だけ――。
「………………っ」