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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第76章
「男女交際って、面倒臭い……」
そのクリスの言葉に、ヴィヴィはきょとんとする。
「え……? ま、まだ1日しか、経って無いのに?」
「リサ、メール魔、なんだ……」
そう言われれば確かに、クリスは移動中、数分に一度の割合で、メールをしていた気がする。
「ありゃりゃ……、う~ん、まあ、頑張りたまえ」
ヴィヴィはそう言って励ますと、クリスの頭をくしゃくしゃと撫でた。
(ヴィヴィよく分かんないけど、付き合い方って、二人で話し合って決めればいいんじゃない? メールは1日何回までとか……?)
「うん……はぁ……」
そう素直に返事はするものの、物凄く面倒臭そうなクリスに、ヴィヴィは心の中で「が、がんばれ~っ」と応援しておいた。
休日の3日間、各々昼からの3公演を終えた双子は、帰宅して夕食を取ると、もちろん勉強に励みまくった。
「あれ? そんなに『メール魔』でもないんじゃない?」
ヴィヴィは一緒に勉強していた4時間の間に、一度もクリスがスマホを手にしているのを見なかった。
クリスは自分の書斎から出て行こうとするヴィヴィに、
「電源入れて、ないからね……」
と恐ろしい返事を返してくる。
「あ、そ、そう……。じゃあ、おやすみ、クリス」
こういう事は付き合ってる当人同士で解決する事だと、ヴィヴィは追求せず、クリスにおやすみのハグをした。
「おやすみ、ヴィヴィ……」
ヴィヴィをハグしたクリスは、ちゅっとそのおでこにキスを落とした。
自分の部屋へと戻ったヴィヴィは、書斎に入り卓上の時計を見つめる。
(日本は23時って事は、オックスフォードは14時かぁ……。英国は平日だし、大学行ってるよね?)
匠海が渡英してからこちらがバタバタしていて、一度も電話出来ていなかった。
兄の顔が見たい、声が聞きたいと思ったがしょうがなく、入浴するためにバスルームへと消えていった。
お風呂上がりのヴィヴィが、リビングで水を飲んでいると、スマートフォンが鳴った。
その着信相手を見て、ヴィヴィの胸がとくりと波打つ。