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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第77章
四大陸選手権を終え、双子はスポーツメンタルトレーニングをスタートした。
といっても柿田トレーナー曰く、“メンタル”という名は付くが、カウンセリング等ではなく、競技力向上のための「心理的スキル」を身に付けていくことを目的としている。
(それも、これからアスリートとして、より成長するためには必要だろうけれど……。ヴィヴィはたぶん、それ以前の問題のような気がする……)
FPで構成点が伸びなかった原因は、きっと――自分が嫌い、だから。
BSTの高等部専用図書館。
ヴィヴィはその一角で、その手に抱えきれない程の本の束を抱きしめていた。
「………………」
自分が嫌いだから、周りに愛して貰えると思えない。
だから、誰からも愛されるオーロラ姫の心境、が全く分からない。
そして、分からないもの、を演じられる訳がない。
(うん……。ヴィヴィ、まず、自分を好きになるところから、始めよう……)
本当ならば専門の心理カウンセラーに、相談するのがベストなのだろう。
しかし、今でもぎちぎちのスケジュールでそんな時間もなく、ましてやコーチ陣にそこまで心配を掛けたくないという本音もあった。
よって速読の特技をフル活用し、関連書籍を読み漁ったヴィヴィは、自分なりの「自分を好きになる方法」を考えてみることにした。
① プチ達成感を得る
② 自分の嫌なところを丸ごと認める
③ 感謝をする
④ 自分を楽しませてあげる
⑤ 欲求と上手に付き合う
⑥ 魅力的な人と一緒に楽しむ
上記を打ち込んだ文章をiPadに表示させながら、ヴィヴィは考える。
① プチ達成感を得る
自分を好きになる時に、鍵となってくるのは「自分で自分を認めること」。
(ん~と、ヴィヴィが自分を認められるところは、
・365日、毎日、ほとんど休みなく、スケートの練習をしている
・どれだけ疲れていても、1日数時間の勉強は欠かしていない
ってとこ……?)
② 自分の嫌なところを丸ごと認める
(ど、どうしよう、いっぱいある。
・我が儘で狡い
・自分の言動に責任が取れない
・すぐ後ろ向きになる、自分に酔う
他にもいっぱいあるけど……)