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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第77章
「なるほど……。ヴィヴィの弱点は――多いなっ!」
ヴィヴィは、自分の模試の成績表を睨み付けながら突っ込む。
「8月にある第4回『センター本番』で、センター試験の合格点を超えるのを、目標にしなければならない……」
「8月かぁ……。今年、英国の生家、行くのかな?」
篠宮一家は、毎年夏に父の生家・ロンドンと、母の生家・エディンバラに里帰りしている。
ヴィヴィがそう呑気な事を口にすると、クリスがびしりと現実を突き付けてくる。
「模試の成績次第だね……。行きたかったら、必死で勉強するしかない」
「はいっ! 年に一度のプライベート旅行! 行きたいでありますっ」
ヴィヴィがぴっと右手を挙げて主張すると、クリスが「はいはい」といった感じで頷いて流す。
「じゃあ、頑張ろうね。で、12月の第5回『最終・センター本番』で取りこぼしがないか、最終チェック……」
「なるほど……。気が抜けないね」
「うん……。一緒に頑張ろう」
深刻そうな表情を浮かべたヴィヴィに、クリスはその頭を撫でていたのだが、
「ってか何っ!? クリス、最終目標得点(Aライン)より、全科目高いじゃないっ ひ~~っ 信じらんない!!」
双子の兄の成績表を見てきゃあきゃあ騒ぐヴィヴィに、クリスがその手から成績表を奪い返す。
「人のことより、自分のこと。ほら、弱点科目から復習するよ……」
「ふぁ~~い」
そう気の抜けた返事を返したヴィヴィだったが、予備校の復習ツールを使い、クリスと真剣に弱点克服に励んだのだった。