この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第77章              

 そして宮田の読み通り、「周りの期待に応えなければ」と自分を追い込んだヴィヴィは、3回転アクセルが飛べなくなったし、「自分が嫌い」になったヴィヴィは、四大陸選手権のFPで最低の演技評価を受けた。

 ヴィヴィの涙が掌を伝い、防音室の床へと降り注ぐ。

(気付けて、良かった……。気づく事が出来て、本当に良かった……っ)

「宮田先生……、ありがとう、ございます……っ」
 
 ヴィヴィは震える声でそう言うと、誰もいないそこへ向かって深く頭を垂れた。
 
 そうせずにはいられなかった。

(ジャンナも、ありがとう……っ)

 ふくよかなロシア人振付師の顔を思い出し、ヴィヴィはまた頭を下げる。




   
『今のヴィヴィには変わって欲しいから……。

 普通の16歳の女の子、恋に恋するような少女になって欲しいから』
 



 匠海に殺されかけ、自分だけ傷ついた顔をしていたヴィヴィに腹を立てながらも、これからの自分を考えてFPを振付けてくれたジャンナ。

 そしていつも自分を支え、導いてくれるチームスタッフ。

 素の自分に戻る場所を与えてくれる、幼馴染 兼 クラスメイト。

 そして、自分の汚いところも全て許し、受け入れてくれたクリス。

 他にも沢山、両親や親族や、ファンも。

 こんなにも多くの人に支えられている自分が、申し訳なくなる一方で、嬉しくなる。

(ヴィヴィ、これだけの素晴らしい人達に、支えようと思って貰える人間だったんだ――)

 また一つ、自分の事が好きになれた気がした。

 ヴィヴィは涙を拭うと、はぁと息を吐き出す。

「絶対に、世界選手権で満足出来る演技、してみせる……っ」

 そう力強く発したヴィヴィの瞳には、迷いはなかった。

 自分が皆に出来る最高の恩返しは、絶対にそれなのだから――。





/2774ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ