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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第14章               

 1分程そうしていたのだろうか。

 いつまでも匠海の胸の中にいたいと思うヴィヴィだったが、兄がふっと苦笑したのを聞きとめ。

 いつの間にか閉じていた目蓋を上げ、少し首を傾げる。

「俺も『大好き』だよ、ヴィヴィ」

 くすくすと笑いながら、確かにそう言った匠海。

 その台詞を聞いたヴィヴィは、咄嗟に兄の背から腕を解き、目の前の逞しい胸を押し返した。 

「やっぱ、嫌い――っ!!」

 1分間も聞こえないふりをしていた匠海の底意地の悪さに、ヴィヴィは恥ずかしさと悔しさと情けなさとで顔を真っ赤にしてそう叫び。

 そのまま脱兎の如く、防音室から逃げて行った。  

 ヴィヴィの背後からは、可笑しそうな匠海の笑い声が聞こえていた。





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