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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第77章              

 兄は確実に、自分を普通に抱くことに飽きてきている。

 そう思うだけで、胸は途轍もなく苦しくて痛い。

 自分は愛されていないのだと、嫌でも思い知らされるから。

 けれど自分は兄が好きなのだ。

 だったらやることはただ一つ、兄を興奮させ続ける――それだけ。

「………………」

(でも、具体的に、どうしよう……。

 どうすれば、お兄ちゃんに興奮して貰えるんだろう……。
 
 化粧……は、嫌いみたいだし……。
 
 コスプレ……、アリス以外に他に何がある……?
 
 えっちの方法だって、もうこれ以上無いほど、してると思うし……。

 他の仕方なんてヴィヴィじゃ、分からない……)
 
 経験人数たった一人の、ヴィヴィの脳ミソのえっちな引き出しなど、探しても豊富にある筈もなく――。

 ヴィヴィはリビングのソファーでスマホを手に取ると、 “男性を興奮させる方法” と検索ワードを打ち込む。
 
 ごくりと息を飲み込みながら検索ボタンを押したヴィヴィは、信じられない数の検索結果の中から、一つをクリックした。



☆*☆ H中の仕草や言動で、彼をメロメロにする方法 ☆*☆

 これさえすれば、エッチで単純な男共は、すぐにアナタにメロメロになる筈!

Check It Out!!


①こんなのはじめて! を演出する!

②しがみつく!

③快感に耐える姿を見せる!

④普段は言わない方言を出す!

⑤敬語を使う!

⑥やばい、どうしよう、イヤ系の言葉を使う!

⑦敏感すぎる感じで、体をビクビクさせる!

⑧おねだりする!

⑨泣く!

⑩本能を、剥き出しにする!



「………………」

 手の中のスマホを見つめるヴィヴィの口が、ぽかんと開く。

(……やばい……)

 そう頭の中でぼそりと溢したヴィヴィの “やばい” には、2つの意味が存在していた。

 1つ目――男の人って、こんなの事で興奮するのか……単純。

 2つ目――ヴィヴィ、無意識にほとんどしちゃってる……。

 ヴィヴィは「う~~ん」と唸りながらソファーの背凭れに凭れ掛かる。

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