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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第77章
鏡に映る頼りない自分の躰をしげしげと見つめる瞳は、ぱちぱちと瞬いている。
(そう言えば、ヴィヴィって、白い下着……、多い気がする……。……そうだっ!)
何かを思いついたヴィヴィは、ぱぱっと残りの衣服を脱ぎ捨て、バスタブに張られた湯に浸かる。
そして、バスルームに持って入るのが癖になっているスマートフォンで、何かを検索し始める。
その顔は、湯にのぼせるには早すぎる時間に、ゆでだこの様に真っ赤になった。
「……――っ」
(う、うわ……。こ、こんなの……っ!? 恥ずかし……っ
で、でも、これでお兄ちゃんが、少しでもヴィヴィに興奮してくれれば……)
ヴィヴィはそう藁にも縋る気持ちで、スマートフォンのボタンを押した。
その手がちゃぽんと音を立て、白濁の湯に沈んでいく。
真っ赤になっていた顔が、徐々に苦しそうに歪み、そしてその灰色の瞳はゆっくりと閉じられた。
(もう、3月の世界選手権以降、海外での試合はない……。
もしかしたら夏休みまで、お兄ちゃんに会うことは、ないかも……。
これから5ヶ月……、お兄ちゃんは絶対に、他の女の人を抱く……。
それは “仕方ない” って分かってるの。
お兄ちゃんは “ヴィヴィのもの” じゃないし……。
でも、次会った時「もう飽きた」って言われないようにする為に、
自分が今出来る事は、全部、やりたいから――)
そう思うのに、頭では分かっているのに、ヴィヴィの薄い唇は震え、それはやがてぐっと白い歯で噛み締められた。