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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第77章              

 3月9日(金)。
 
「また、別れたのか……?」

 BST、高等部2年の教室に、呆れた様な――否、心配した様な声が響く。

 そう言われた張本人のクリスは、こくりと頷く。

 その拍子に、金色の髪がさらりと揺れる。

「また、それは、どうして……?」

 親友のアレックスは、ふよふよの金の巻髪の頭を傾げ、クリスを覗き込む。

「ん~……。何でだろうね……?」

 まるで他人事のように呟くクリスは、いたって平静だ。

「クリスからフったのか?」

「前の2人はそうだったけど、今回はフラれた……」

 目の前の席で話し込んでいる男二人に、その後ろの席のヴィヴィが、クリスの背をつんつんと突く。

「クリス……、だ、大丈夫……?」

 眉根を下げて心配した表情を浮かべるヴィヴィに、クリスは振り返ってその頭を撫でる。

「全然……。逆に、すっきりした……」

「そ、そう……」

(すっきり……? なんで……?)

 小さく首をひねってクリスを見上げるヴィヴィに、双子の兄はその頭を最後にくしゃりと撫でると手を放した。

「あれじゃない? クリスこのまま何十人かと付き合えば、1年位付き合える彼女が出来るんじゃない?」

 傍にいたジェシカのその突っ込みに、そこにいた3人が?マークをその顔に浮かべながら、彼女を見返す。

「だってね、1人目のリサが1週間、2人目のヘレンが2週間、3人目のローラが3週間続いてるでしょう?」

「あっ! そうか、一週間ずつ、付き合う期間が延びてるな」

 ジェシカのその説明に、アレックスがぽんと両手を合わせて納得する。

 その声に、クラスメイトの皆が、面白そうに話に入ってくる。

 本当にいつも思うが、仲のいい幼馴染達だ。

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