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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第78章
「そりゃ、頑張って休暇取ったさ! 可愛い従妹の晴れの舞台ですから」
そう言ってヴィヴィを抱き留めたヒューはぎゅうと抱きしめてハグを解くと、貸切にしているパーティールームへと案内してくれる。
「まだ、みんないる?」
ヴィヴィはそう尋ねながら、走ってきて乱れた金色の髪を手ぐしで整える。
「いるよ。もう、両家入り乱れで飲んだくれて、大変なことになってる」
そう言って両手を上げてみせるヒューに、ヴィヴィは噴き出す。
「あはは、想像つく!」
「はいどうぞ、ヴィクトリア姫?」
そう茶化しながらパーティールームの扉を開けてくれたヒューを、笑いながら軽く睨んだヴィヴィは、その先にいた総勢30名程の親族に瞳を輝かせた。
「キャ~ッ みんな~っ!!」
ヴィヴィがそう叫べば、こちらを振り向いた皆も叫ぶ。
「ヴィヴィ、来た~っ!!」
「ゴールドメダリストのお出ましよっ!」
「おお、ヴィヴィ、早くこっち来て顔を見せておくれ」
途端に周りを囲まれ、キスされハグされもみくちゃにされ、それでもヴィヴィも負けずに皆に飛び掛かっていった。
そして長いテーブルの中央に座って、こんな時間まで待っていてくれた、両家の祖父母に挨拶に行く。
「まあ、ヴィヴィっ もう、私、見ていて心臓が止まりそうだったわ!」
母方の祖母がそう言えば、
「ねえ~、私も、特にFPは見ていて生きた心地がしなかったわ~」
父方の祖母が心底ほっとした顔で続ける。
「あはは! ごめんね、心配かけて。今日はFP、まあまあの点数だったでしょう?」
四大陸のFPの点数の低さに、心を痛めていたらしい両祖母に、ヴィヴィは謝る。
「ええ、もう今日は完ぺきだったわ! 可愛らしいお姫様だった」
「なんたって、シーズンベストを更新したんですもの!」
そう言って微笑んでくれた両祖母と、両祖父に、ヴィヴィはハグして礼を言う。
やっと落ち着いたところで、クランベリージュースを手にしたヴィヴィは、それをずずずと一気に飲み干した。
「ふはぁ……、生き返った」
「今回は双子そろって、SPもFPも1位の総合1位だもんな、ジュリアンも鼻高々だよ」
母方のダニー叔父さんが、グラスを持った手で指差した方向を振り向けば、もうすでに飲んだくれている父と母が目に入る。