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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第78章
「馬鹿。あれは、まだ…… “ただの妹” だっただろう?」
「え……。あ、うん」
今や “ただの妹” じゃなくなったヴィヴィは、そう呟いて口ごもる。
「自分の女には、そんなに露出させたくない」
憮然とした表情でそう言い、ヴィヴィの剥き出しの太ももを撫でてきた匠海に、ヴィヴィは恥ずかしそうに頷いた。
「―――っ う、ん……っ」
(自分の女……、そういえば、前もベアワンピ着た後、「俺以外に見せるな」って言ってくれてたや……)
「でもニーハイは良い。お前、本当に脚……綺麗だな」
そう言って、自分の股の間からヴィヴィを下させた匠海は、目の前に立つ妹の黒いソックスに包まれた長く細い脚を、しげしげと観察してくる。
「あ、りがとう……」
(ニーソ履くために、ミニスカにしたんだけどね……。ま、いっか)
ヴィヴィは心の中でそう呟きながらも、素直に礼を口にした。
まったく膨らむ様子のない胸や尻には自信はないが、脚には少し自信がある。
真っ直ぐなそれは、スケートでもバレエでも映る、言わば商売道具だから。
「これ、俺があげたやつ?」
「うん。だってお兄ちゃん、3足もくれたから……」
以前、(不本意ながら)アリスの衣装で抱かれた時、白黒のボーダー、黒、白のニーハイソックスを、匠海は準備していたのだ。
「そうか。絶対領域にいっぱいキスしてっていう、メッセージか」
「ち、違うよっ」
アリスの格好で抱かれた次の日、足の付け根がキスマークだらけで困ったことを思い出し、ヴィヴィは強く否定する。
「しょうがない、してあげるけれど、その前に、ヴィクトリアの全てを見せて」
そう言って見上げてきた匠海の顔は、今まで自分をからかっていたものとは全く異なる、欲情した男の顔だった。
ヴィヴィはその匂い立つような色香に息を飲み、匠海を見下ろす。
「……――っ お兄ちゃんも、み、見せて?」
「ああ、いいよ。脱がせてくれ」
匠海はそう言うと、ソファーから立ち上がった。
ヴィヴィはいよいよ兄に抱いて貰えるのだと察し、震え始めた指先を叱咤しながら、目の前の逞しい男の躰に手を伸ばす。
黒のジャケットの袖を抜いて脱がせると、ふわりと兄の好む香りがヴィヴィの鼻を擽った。
(お兄ちゃんが……、こんなに、傍に……)