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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第78章                 

 軽く頬擦りしていると、匠海がヴィヴィの頬に触れ、上を向かせた。

「可愛いね……。そんなに、欲しかった?」

 そう意地悪く聞いてくる匠海の瞳は、明らかに欲望に濡れていた。

 きっと自分も同じ瞳をしているのだろう。

「……う、ん……」

 そう微かに頷いたヴィヴィは、眩しそうに瞳を細めて兄を見上げる。

「素直な、いい子だ」

 妹の頬に添えていた掌をその金色の頭に這わせた匠海は、優しくそこを撫で始めた。

 ヴィヴィはまた視線を戻すと、両手で兄の下着を下していく。

 しかし、ヴィヴィはその途中で手を止めてしまった。

(……あ、れ……?)

 目の前の兄のものに目が釘付けに――なった訳ではなく、無いのだ……毛が。

「ん……? ああ、知らないのか? 欧米人の男女のほとんどが、処理してるんだぞ?」

 頭の上から降ってきた匠海の言葉に、ヴィヴィは目をぱちくりさせる。

「し、知らな、かった……」

 少し動揺したヴィヴィの薄い胸が、鼓動の速度を上げる。

 毛が無いと、根元から兄の全てが丸見えで、如実に分かる――その、大きさが。

(あれ……、でも、年末年始は、あったよ……? 

 なんで……どうして、今は剃ろうって思ったの……?)

 ヴィヴィの薄っぺらい胸の中で、どくりと重い音がする。

「……何の為に、処理するの……?」

 ヴィヴィのその疑問に、匠海は何でもない事のように答えてくる。

「ん? そりゃあ、セックスパートナーの為と、後は衛生的だからじゃないか?」

「……――っ」

 兄の返事に、ヴィヴィは息を飲む。

 また胸がどくりと鳴る。

 高鳴りとは明らかに違う、痛みさえ伴う苦しいそれに、ヴィヴィはかすかに眉を顰めた。

(……どういう、こと……? セックスパートナーの為って……。

 ここ、舐める時とか、触る時とか邪魔にならないように、って事だよね……。

 お兄ちゃん……やっぱり――)

 ヴィヴィは途中まで脱がせていた兄の下着を手早く、その長すぎる脚から抜き取った。

「彼女、欧米人なんだ?」

 そう言いながらすくっと立ち上がったヴィヴィに、匠海が「え?」と短く聞き直してくる。

 ライトグレーのサロペットワンピを自分の肩から抜き取ると、それはストンと音を立てて床へと落ちた。

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