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第78章 　 　 　　　　　 　 　　　　

（そうだよ……、そうだよ、お兄ちゃん……。

　ただ、えっちしたいだけなら、彼女なんて作んなくてもいいんだよ？

　お兄ちゃんには、ヴィヴィがいるんだから……）

「ヤキモチ、焼いたのか？」

　面白そうに見下ろしてくる匠海に、ヴィヴィはこくりと頷く。

「うん……、ごめんなさい……」

（ヴィヴィ、そんなの焼く資格さえ、自分で放棄したのに……）

「可愛いね。もっと焼いてくれ」

「……焦げ焦げ、真っ黒けになるよ？」

　そう呟いて小さく首を傾げれば、匠海はふっと微笑んだ。

「それは、困るな」

（燃やし尽くして、さらっさらの灰にしてやる……）

　ヴィヴィは胸の中でそんな物騒なことを思いながらも、可愛らしい笑顔を浮かべた。

「お兄ちゃん、ヴィヴィも、脱がせて？」

「ああ。早くお前の全てが見たいっ」

　そうとても焦ったように発した匠海はその言葉通り、手早くヴィヴィのシフォンブラウスと下着上下を脱がせると、ぽいぽいと近くのソファーに放った。

　あまりの手際の良さにヴィヴィがぽかんとしていると、匠海は全裸に黒のニーハイソックスだけになった妹を、一歩引いて見つめてきた。

「綺麗だ、ヴィクトリア。どこもかしこも細くて白くて……」

「は、ずかしい……っ」

　頭の先からつま先まで、まさにねっとりといった形容詞がぴったりな眼差しで見つめられ、ヴィヴィは今更ながら恥ずかしがった。

　兄の視線から逃れようと目の前の匠海の胸に飛び込めば、ぎゅうと抱きしめられた。

「ああ、ヴィクトリアだ。やっと、やっと、お前を抱きしめられた」

「お兄ちゃんっ　もっと、ぎゅってして……っ」

　ヴィヴィは兄の胸に顔を埋め、はあとその香りを吸い込み、熱い息を吐き出す。

「こう？」

　妹の願い通りきつく抱きしめた匠海に、ヴィヴィは顔を顰める。

「いたたっ」

「ふっ　相変わらず面白い子だな」

　そう言って噴き出した匠海に、ヴィヴィは甘えた声を上げる。

「ねえ、お兄ちゃん？」

「ん？」

「気持ち、いいね？」

　互いの躰が暖かさを通り越し、熱いけれど。

　密着したヴィヴィの乳房と匠海の腹筋。

　ヴィヴィの薄い腹を押し返す匠海の逞し過ぎる陰茎。

　その全てが気持ちよくて、愛おしい。