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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第78章
「な。気持ち良すぎて、年甲斐もなくどきどきするよ」
らしくなく可愛い事を呟いてくる匠海に、ヴィヴィは少しだけ顔を離し、兄の顔を見上げる。
「ほんとに~?」
「うん。ほら、早いだろう?」
そう言った匠海は、ヴィヴィの後頭部に掌を添えると、自分の胸に押し付けた。
ヴィヴィの耳に、とくとくと早い鼓動を打つ兄の生命の音が届く。
「……ほんとだ。ふふっ」
(ヴィヴィを抱きしめて、ドキドキしてくれるの? お兄ちゃん、大好きっ)
「じゃあ、次はお前の胸の音を聞かせて貰おうかな、ヴィクトリア?」
言い終わらぬ内にヴィヴィをひょいと抱っこした匠海は、その腕の中の妹を愛おしそうに覗き込んでくる。
「うん。聞いて? お兄ちゃん」
(ヴィヴィの、心臓の音も、声も、厭らしい音も、全て……)
うっとりと兄を見上げる妹に軽く口付けを落とした匠海は、ヴィヴィを寝室へと運び込んだ。
ダブルベッドに腰掛けた匠海は、ヴィヴィを白い羽毛布団の上に寝かせるとゆっくりと覆い被さってくる。
「ヴィクトリアの心臓は、どこかな……。すでに熱いここかな?」
匠海は面白そうに呟きながら、ヴィヴィの桃色の頬に手を添えて擽る。
「ん、そこだよ」
ヴィヴィはそう言って、擽ったそうに笑う。
「ふっ 嘘吐きめ。じゃあ、そんな可愛い嘘をついてしまう、このピンク色のここかな?」
「ん……っ」
柔らかく唇に吸い付かれ、ヴィヴィは瞳を細める。
妹の薄い唇を味わうように、何度も角度を変えて吸い付いてくる匠海に、ヴィヴィはぽわんとしてくる。
「ここだった?」
そう優しい声音で囁かれ、ヴィヴィはこくりと頷く。
「うん、心臓、ここだよ」
「はは、そんな悪戯っ子は、もう胸触ってあげないよ?」
匠海のそんな意地悪な言葉に、ヴィヴィははっとする。
「え? やぁ……っ」
「嫌なのか?」
「ん……、触って……?」
「じゃあ、ヴィクトリアの心臓の場所、教えて?」
頬をさらりと撫でながら、匠海はヴィヴィに促す。
「全部……」
「え?」
「お兄ちゃんに触れられると、ヴィヴィの躰、全部どきどきしてるから」
(どきどきして、震えて、自分でもコントロール出来なくなるの……)