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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第79章            

 その後、躰の全てを洗い合いっこし、乾かし合いっこし、ヴィヴィはにやけていた。

(むふふ……、ホントこういうの、恋人同士みたいで嬉しいっ いつか本当にそうなれたらいいな~)

 リビングのソファーに置いていた(放り出したままだった)衣類を持って来てくれた匠海からそれを受け取ると、ヴィヴィはバスルームで着替えようと、腰かけていたベッドから立ち上がった。

 しかしその手はぐいと引かれ、何故か兄の前に立たされた。

「今日は俺が着せてあげよう」

「え゛……、い、いいよ……」

 ヴィヴィが変な声を出して断る。

「いいや、着せてあげよう」

 頑として譲る気のなさそうな兄の様子に、ヴィヴィは早々に降参した。

「はあ、お願いします……」

 匠海は嬉しそうにブラを付け出す。

 背中のホックも軽々止め、ちゃんとカップの中に小さな胸を収めてくれ、立ったままのヴィヴィにショーツを手ずから履かせてくれる。

(これ、楽しいのかな……? ヴィヴィも今度、お兄ちゃんの着替え、手伝わせてもらおう)

 キャミソールの上からシフォンブラウスを着せ付け、そのボタンを下から器用に止めていく匠海に、ヴィヴィは話しかける。

「お兄ちゃん、お願いがあるの」

「なんだい?」

 そう返事しながらも、匠海はじっとブラウスの小さなくるみボタンを見ていたので、ヴィヴィはその耳に手を添えて唇を寄せた。

「えっとね……、■■■が欲しいの――」

 兄の耳から手を放したヴィヴィを、匠海は当惑した表情で見返してくる。

「え……、嫌……。っていうか、そんなもの貰って、どうするんだよ?」

 そう尋ねられたヴィヴィは、言葉に詰まり、左右に視線を彷徨わせ、やがてにこりと笑って口を開いた。

「秘密」

「……余計、嫌、なんだけど」

 眉間を寄せながら本当に嫌そうにそう断ってくる匠海に、ヴィヴィは桃色の唇を尖らせる。

「え~~、ヴィヴィのお誕生日プレゼント、それがいいの!」

 今は3月だし、誕生日の5月迄まだ日がある。

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