この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第80章            

(なんて顔、してるの……。今から、お兄ちゃんを一晩中、喜ばせなきゃいけないのに……)

 そう心の中で自分を叱咤しながらも、その一方で、「どうせ後ろから貫かれるんだから、どんな顔してても分からないけどね」と自嘲する自分もいた。

 すくとベッドから立ち上がったヴィヴィは、躰に巻きつけたままだったバスタオルを外すと、手早く衣服を身に纏う。

 2枚のカードキーとスマートフォンだけを手に部屋を出たヴィヴィは、真っ直ぐにエレベーターへと向かった。

 階上へのボタンを押すと、エレベーターはすぐに到着した。

 もう深夜、こんな時間に利用する客も少ないのだろう。

 目的の階数のボタンを押したヴィヴィは、箱の真ん中に立ち尽くす。

 重厚な扉が閉まり、上へと引き摺り上げられていく奇妙な感覚に、躰を預ける。

 ブーンと静かなモーター音が鳴る中、ヴィヴィは自分の躰を震える腕で抱きしめた。

 小さな顔が、泣き出す一歩手前の苦しそうな表情に歪む。

(あんなに……、あんなに、自分を好きになる為に頑張ってきたのに……。

 今、ヴィヴィ、自分のこと、嫌い……っ)
 
 薄い唇が小さな歯できゅっと噛み締められ、その色を白くする。

(やっぱりこんなの、間違ってる。

 偽りの自分で抱かれて、そんなに必死にこの関係に縋り付いて、

 その先に何があるの――?

 ヴィヴィだったら、嫌。

 ヴィヴィは、お兄ちゃんが躰を繋げている時、

 自分みたいに “空っぽの人形” だったら、嫌だっ!)

 ヴィヴィは躰に巻きつけていた腕を解くと、ぎゅっと拳を握りしめた。

 ポーンというエレベーターの到着音と共に開かれたその扉。

 長い睫に縁どられた大きな瞳が、しっかりと意思を宿し、力強く前を見据える。

(お兄ちゃんはヴィヴィを抱く時、『喜び』を感じるって言ってくれた。

 だからヴィヴィも、今の自分の気持ち、伝えてみよう。

 上手く説明する自信無いけれど、

 お兄ちゃんならきっと、最後まで聞いてくれる)
 
 ヴィヴィは震える脚を一歩踏み出す。

 最初は心許なかったその歩みは、やがて意志を持ったしっかりしたものに変わる。

/2774ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ