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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第16章                 

 翌日、午後いちの公式練習を終えて夕方からペアのフリープログラムが始まった。

 棚橋成美とマーヴィン藤堂のペアは結成11年を迎える、日本ではベテランのペアだ。

 身長146センチの小柄な棚橋は柔軟性も高く、リフトでもそれを生かしたポジションと、投げ上げる幅の広いスローイングジャンプにも定評があった。

 ロシアといった強豪国に次いでSPでは3位に入った棚橋マーヴィンペアは、それでも悔しそうな顔をしていた。

「絶対にスローイングトリプルアクセル決めるから! 見ててっ!」

 そう言って六分間練習に勢いよく出て行った二人を、日本チームは必死に応援する。

 六分間練習ではスローイングジャンプの着氷が両足着氷になってしまった。

 それでも見事なスプリットツイストリフト(男性が女性を投げ上げて空中で回転し、男性が受け止めながら着氷する)を決め、場内に大きな拍手が上がる。

 六分間練習が終わり、第一滑走から順に滑っていく。

 四番滑走の日本ペアの番までに飛びぬけて高得点を出した国はいなかった。

「棚橋成美、マーヴィン藤堂――日本」

 二人の名前がアナウンスされ、元気よく飛び出していく。

 時間いっぱい使ってリラックスした二人はスタート地点でポジションを取る。

 直立したマーヴィンの胸に、後ろ向きに直立して斜めに凭れ掛かった棚橋が音楽が鳴り始めるとマーヴィンの胸に押されて前に倒れる。
 
 ゆっくりと人形のように前のめりに倒れる棚橋をマーヴィンが前で受け止めて滑り始める。

 キャリーリフトを挟んですぐにスローイングジャンプが組み込まれていた。

 ヴィヴィ達は神に祈りを捧げる様に胸の前で指を組んで二人を見守る。

 大きくなった音楽に合わせてマーヴィンが棚橋の腰を掴み、大きく上へと持ち上げて遠くへ放り投げた。

「降りてっ!」

 ヴィヴィの隣からマリア渋谷の必死な声が聞こえる。

 ヴィヴィ達の願いが届いたのか、棚橋は綺麗な弧を描いて三回転半回りきると片足で着氷した。

 その途端、日本チームの皆が席から飛び上がって歓喜の声を上げる。

 その後ソロジャンプも手堅く纏めた二人は四分半の演技を終了した。

 リンクの上で棚橋を持ち上げてマーヴィンが喜びを露わにすると、場内からたくさんの花束やプレゼントが投げ込まれた。

「「ただいま~っ!」」

 
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