この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第83章
第1週目、『6月 基礎力』模試を受けたヴィヴィは、クリスが想定していた得点通りの結果を出した。
しかしそれに慢心せず、徹底的に弱点を潰しにかかったヴィヴィは、第2週目の『6月 東大本番レベル』模試に挑んだ。
これは東大二次試験本番と同じ出題形式とレベルのもので、双子にとっては大事な指標となるものだった。
その数日後、カフェテリアの一角。
ランチボックスを開いて、料理長の可愛い秀作に瞳を輝かせたヴィヴィが、両手を合わせる。
「いただきま~す!」
同席していたクラスメイト達もそれぞれ食事を始める中、少し遅れてやってきたクリスはヴィヴィの隣に座った。
「ヴィヴィ。届いてたよ、模試の結果……」
そう言って妹の手からフォークを取り上げ、代わりに自分のiPadを手渡してくるクリスに、ヴィヴィはランチを中断して画面に見入った。
予備校から速報で届いた結果メールを見つけ、それを恐るおそるクリックしたヴィヴィは、すぐには結果を確認できなかった。
なにせ、東大二次前期試験を想定した、とっても大事な模試だったのだから。
それでも勇気を振り絞って、画面をスクロールしていく。
「……ドキドキ。……――っ!?」
ヴィヴィの灰色の瞳が大きく見開かれ、その咽喉からは空気を絞り出すような息が漏れる。
ヴィヴィの様子にその場にいた皆の視線が集まる中、当の本人はiPadとクリスの顔を交互に見て、口をぱくぱくと開けていた。
隣から画面を覗き込んだクリスは、「ふ~ん……」と呟くだけ。
「ど、どうだったの? ヴィヴィ……?」
双子の様子に痺れを切らしたように、ヴィヴィの隣に座ったカレンが尋ねてくる。
その問いに、ヴィヴィはぱっとiPadの画面を皆に向ける。
丸いテーブルを囲んだ友人達は、一斉にその画面に食い付いた。
「……っ きゃ~~っ!?」
「え、嘘っ 凄~いっ!!」
「おおっ 凄っげぇ! 東大模試で余裕のA判定!」
そう皆が騒ぎ始めたのも無理はない。
昨年の8月の時点で、ヴィヴィはボーダー圏のC判定だったのが、安全圏のA判定になったのだから。