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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第83章         

 iPadをカレンに渡したヴィヴィは、放心したようにクリスを見つめる。

 そんなヴィヴィに小さく頷いてみせたクリスは、静かに続けた。

「ヴィヴィ? 信じる者は――?」

「救われる~~(-人-)」

 両手を合唱してそう唱えたヴィヴィに、クリスは満足そうだった。

「そう。いい子だね……、今週末も、頑張ろう?」

「はいっ クリス様~っ」

 合わせていた両手の指を組んだヴィヴィはそう口走ると、ウルウルした瞳でクリスにお祈りを捧げた。

「凄い……。クリス教の、教祖と信者だ……」

 アレックスが双子を見比べながらそう言えば、

「しかも、お布施、物凄く貢ぎそうな信者ね……」

 カレンが呆れたように続ける。

「あ……っ クリス様! デザートにプリンなど如何ですか?」

 ヴィヴィががたと椅子を引いて立ち上がり、クリスに尋ねれば、

「……生クリーム、乗ってるやつ……」

 ぼそりと催促するクリス。

「ははあ~っ しばしお待ちをっ」

 従順な返事を返したヴィヴィは、ダッシュで売店へと走り、駿足で戻ってきた。

「お待たせ致しました、クリス様っ つまらぬ物ですが、どうぞお納め下さい~」

 テーブルに平れ伏したヴィヴィがそうおどけてプリンを差し出すと、珍しくクリスがふざける。

「苦しゅうない、近こう寄れ……」

 時代劇の如く呟いたクリスは、口を開いて強請った。

「はい、あ~~んっ」

 ヴィヴィは請われるがまま、プリンをすくってその口に運んであげる。

「美味……」

「あははっ クリス、可愛いいっ」

 渋く呟いたクリスに、ヴィヴィがケタケタと笑う。

「なんだ、この双子っ!?」とマイク。

「悪代官と越後屋のコントか? 新喜劇か? ラブラブカップルか?」とアレックス。

 その男子二人の突っ込みに、女子達が笑う。

「はい、カレンも、あ~~ん」

 ヴィヴィは自分の隣に座っていたカレンに向き直ると、生クリームがたっぷり乗ったプリンをスプーンで差し出した。

「えっ!? あ、あ~ん」

「美味しい?」

 ヴィヴィがにっこりとカレンに尋ねる。

「う、うん……」

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