この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第83章         

(夢って分かってて、見せ続けられる夢って、なんなのさ……)

 その初めての経験に、ただの夢と分かっているのに少し心がゆらゆらする。

 Eカップの胸。

 「本当はずっと好きだったんだ」

 「愛してる」

 「恋人同士」

 あまりにも現実離れしすぎた内容に、呆れ返る。

(夢の中って本当に自分の願望が、顕著に出るんだな……)

 ヴィヴィはもう一度、魂が抜けそうなほど深い溜め息を零すと、ベッドから降りた。

 寝室の扉を開け、いつも通り朝の支度にバスルームへと向かおうとしたその足は、何故か書斎の方へと突き進む。

 かたりと小さな音を立てて開けられたデスクの引き出し。

 そしてそこに並ぶ、二つのジュエリーケース。
 
 その一つを開いたヴィヴィは、一対のダイヤモンドのピアスを見つめ、小さく肩を落とす。

(っていうか、エッチしながらピアス付けて貰うとか、訳分からん……)

「もしかして、ヴィヴィ……。欲求不満、なの……?」

 そう自問自答したヴィヴィは、ならばその欲求不満を解消すべく、朝練をしこたま頑張った。

 あまりに頑張り過ぎて1限目の授業中、うつらうつらとして、教師にテキストでぽかりとやられてしまったが。

(何やってるんだ、ヴィヴィってば……)

 ランチタイム。

 教室で手早くランチを取ったヴィヴィは、当てもなく一人でふらふら校内を彷徨い、講堂前のラウンジスペースに辿り着いた。

「あ……。今日……、七夕かぁ……」

 そこに飾ってあったのは、2.5メートル程の七夕の笹。

(神様……もしかして七夕だから、いつもは見ないお兄ちゃんの夢を、ヴィヴィに見させたの?)

 ヴィヴィは笹に近寄ると、その前のテーブルに置かれていた短冊を手に取る。

(でも神様、間違ってるよ? 織姫と彦星が年に一度の逢瀬をするのは、7月7日の夜――つまり、今夜なんだからね……?)

 ヴィヴィはペンを手に取ると、短冊に書くお願い事を頭の中で思い浮かべる。
 


   『恋が実りますように』
 
   『大学に合格しますように』
 
   『ジャンプの修正がうまくいきますように』



 どれも叶って欲しい事なのに、何故かどれもピンとこない。

/2774ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ