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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第83章
「……そんな苦しい恋なんか、忘れたら? 他にもお買い得物件はあると思うけれど?」
ヴィヴィの凭れているソファーの背凭れに腕を回したアレックスが、じっと自分を見下ろしてくる。
「お買い得物件? どこに?」
ぱちぱちと目を瞬かせるヴィヴィに、アレックスがにやりと笑う。
「ヴィヴィの目の前にいるでしょ?」
「え~? アレックスぅ~?」
瞳を細めて笑うヴィヴィに、アレックスは続ける。
「そう。俺、優しいよ? 顔だって悪くないし、バスケで鍛えてるから、結構いい躰」
彼が優しくて本当に友人思いなのは、小さな頃からずっと一緒のヴィヴィだって知っているが。
「あはは。自分で言ってる!」
面白がって笑うヴィヴィに、アレックスは少し距離を詰めて覗き込んできた。
「ヴィヴィが困ってたらすっ飛んでって、優しく相談にも乗ってあげるし、愚痴だって永遠に聞いてあげるよ。こんな俺、どう?」
「……アレックスって、ロリータ趣味だったの?」
ヴィヴィはぽかんとアレックスに聞き返す。
今日の「ツインテールはロリータだ」事件もさることながら、同学年の幼馴染達は、ヴィヴィがどれだけ『お子ちゃま』なのかを知っている。
だからクリスに避けられていた時に自分に告白してきた男子生徒達は、ヴィヴィより年上か年下の学年だったのだ。
つまり、ヴィヴィの本性を知っているクラスメイト達は、絶対に自分を恋愛対象として見ていない。
「ロリータ? ああ、あれはからかっただけだよ。別にヴィヴィは、そこまで幼くはないだろ」
そう言って苦笑したアレックスは、耳の後ろで結ったヴィヴィの髪を指先で触れた。
「アレックスの彼女になったら、ヴィヴィ、髪の毛撫でなでしまくてもいい?」
アレックスは金髪の巻き髪だ。
少し長くてくりんくりんのそれは可愛らしく、そよそよと窓から入ってきた風にそよぎ、触ったらとても気持ち良さそうだ。
何故か彼はどれだけ皆が強請っても、決して触らせてくれないが。
「それは駄目っ」
そこだけは断固拒否してくるアレックスに、ヴィヴィはこてと首を傾げる。
「どうして?」