この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第85章             

「……クリス……、どうしたの……?」

「入って、いい……?」

 遠慮がちにそう確認してくるクリスに、ヴィヴィは目をぱちくりさせながら頷く。

「うん、もちろん」

 そう言って横たえていた上半身を起こそうとしたヴィヴィを、クリスは「寝てていいよ……」と遮り、その枕元へと寄って来た。

「眠れてないんじゃないかと、思って……」

「クリス……」

 今日一日様子のおかしかった妹を心配してくれていたクリスに、ヴィヴィはもう頭が上がらなった。

「眠るまで傍に居るから、安心しておやすみ……」

 自分の頭を柔らかく撫でてくるクリスに、ヴィヴィの心がきゅうと疼いた。

「……クリス……」

「うん……?」

「添い寝、して……?」

 そう甘えたヴィヴィに、クリスは満更でもない表情を浮かべたが、すぐに首を横に振った。

「う~ん。この前みたいに、隣で寝ちゃいそうだから、やめておく……」

「いいよ。一緒に寝て……?」

 寂しそうな表情でクリスの手を握れば、双子の兄は静かに隣に横になってくれた。

「……甘えん坊のヴィヴィ、可愛い……」

 そう歯の浮くような返事を返してきたクリスに、ヴィヴィは苦笑しながら薄い上掛けを彼のお腹に掛けた。

「ふふ……。なんかクリスの顔見たら、安心して眠くなってきちゃった……」

「睡眠導入剤……?」

「うん。しかも効果てきめんの」

 にっこり笑ってそう言えば、クリスが困ったように眉尻を下げる。

「勉強中にその威力が発揮されないことを、祈るばかり……」

「あはは」

 楽しげな声を上げたヴィヴィにほっとした表情になったクリスは、瞳を細めて口を開いた。

「おやすみ、ヴィヴィ……」

「クリス、おやすみなさい」

 しばらくして、ヴィヴィの隣からはクリスの安らかな寝息が上がった。

 双子の兄は睡眠に無上の喜びを感じるらしく、物凄く寝付きがいいが、物凄く寝起きが悪い。

 ぱちりと瞼を上げてクリスの寝顔を見つめたヴィヴィの表情が、ほっと緩む。

(クリスといると、子供の頃に戻ったみたいで、安心する……)

/2774ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ