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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第85章
音もなく入ってきた匠海は扉の鍵を閉め、ヴィヴィを抱き寄せてくる。
昨日と同じく、柔らかな抱擁。
まるで薄い硝子細工の壊れ物を扱う様な、繊細なその指先。
そして抗う気すら削がれてしまいそうになる、その魅惑的な兄の香り。
「………………」
(今、拒絶すれば、止めてくれるのかな……?)
ヴィヴィはそれを実行に移してみようと、躰の横に垂らしたままだった両手を匠海の胸に付こうとし――止めた。
ゆっくりと抱擁を深めてきた匠海の腰が、ワンピースの腹部に押し付けられ、そのはち切れんばかりの昂ぶりを感じ取ってしまったから。
(また、するんだ……)
ヴィヴィの手から、握りしめていたハンカチが滑り落ちた。
指先で俯いていた顎を持ち上げられ、簡単に唇を奪われる。
熱い吐息と共に早々にヴィヴィの口内に含まされた匠海の舌は、妹の全てを味わい尽くそうとでもいう様に、歯茎まで舌で辿ってくる。
それには慣れなくて、ヴィヴィは自分から匠海の舌を自分のそれでつつき、舐めるならこっちにしてと誘導した。
ヴィヴィの舌を絡め捕った匠海は、これから行うまぐわいをそこで再現するかの様に、ねっとりと妹を舐め上げる。
いつの間にか兄の舌にびくびく震え始めたヴィヴィは、匠海のシャツの裾を握りしめた。
兄の大きな掌が自分の腰と尻に回され、口付けの最中もぐっぐっと自分の腰に妹の躰を押し付ける。
その度に匠海のシャツを握りしめていたヴィヴィは、やっと躰を離されたその時になって、ボタンダウンの爽やかなシャツの裾を、皺クチャにしてしまったことに気付いた。
着替えるかアイロンをかけなければ取れない程のその皺に、ヴィヴィは心の奥で少しの愉悦を覚えた。
ただヴィヴィが出来る反抗などこの位で、ひょいと横抱きされたその躰は、いとも簡単にバスルームへと連れ去られる。
昨日と同じく、妹を洗面台の白いタイルの上に座らせ、スカート部分のボタンを外した匠海は、その下から現れた子供っぽいギンガムチェックの下着に瞳を細めた。
「可愛いな……」
そう囁きながら金色の茂み辺りに、下着の上からちゅっと唇を寄せてきた匠海に、ヴィヴィは心の中で敗北を認めた。