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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第86章
ここまでヴィヴィの躰を一つひとつ開いてきた匠海は、その事をもちろん知っている筈だが、今日は妹の全てを舐め上げ蹂躙してきた。
(やっ やだ……っ そこ、いやんっ くすぐったいっ)
そう色気の無い事を思いながら必死に逃げようとするのだが、両手首は拘束され頭も深い口付けで逃れられない。
せめて自由になる下半身で抵抗しようとするのだが、それに気付いた匠海に体重を乗せられてしまい、腰も上から押さえ付けられる。
唯一自由な両脚で何とか抵抗してやろうと思うのだが、結局は力なくシーツの上を踵で蹴るくらいしか出来ず。
ようやく長い口付けから解放された頃には、ヴィヴィはぐったりとしていた。
自分の上から兄が退けたのが分かったのに、動く気にもなれなかった。
どうせ匠海は自分がどれだけ暴れても、セックスに持ち込むのだろうし。
自分も痛くされるよりは、気持ちいいほうがいい。
感じ入った風に兄を従順に受け入れていれば、匠海は早々に自分を解放してくれるだろう。
そう達観したヴィヴィは兄が自分の腰の下に枕を差し込み、下着を脱がせても抵抗しなかった。
自分の秘めた場所に嬉々として口付け、舌を捩じ込み、蜜を舐め取り、飲み下す実の兄。
そしてその口淫に感じ入り、喘ぎを口に押し付けた枕に吐き出す、血の繋がった妹の自分。
そう考えてみれば、自分も匠海と同じ種類の人間のような気がしなくもない。
確かに自分達が行っているのは『近親相姦』で。
それも妹の自分から兄の匠海を無理やり強姦し。
その後、今日までこの関係を続けている。
けれど自分と匠海には、決定的に違っているところがある。
ヴィヴィが匠海を好きになったのは、『兄』だからじゃない。
ヴィヴィが匠海とのセックスに喜びを覚えるのも、気持ちよく感じるのも、それは兄を男として愛しているから。
けれど匠海はそうじゃない。
兄はヴィヴィが『血の繋がった妹』だから、その関係性に興奮し、快感を得、喜びを感じている――ただ、それだけ。
そこに男女の愛は存在しないのだ。
苦しい。
胸が苦しい。
何時になっても叶わぬ夢と知りながらも、縋り付いているこの状況が苦しい。