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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第86章               

 声も音も何も我慢しなくていい、そんな場所で、時間も気にせず兄の全てを感じさせてほしい。

 もしかして匠海は、それを自分に感じさせようとして、わざとこんなことをしているのではないか――?

「ふ……。意地っ張りなお姫様は、素直じゃないな? じゃあ、また一人でイっとく?」

 返事を寄越さない妹に、兄はそう言うと深くまで貫きながらクリを弄り、そしてヴィヴィの蜜壺は止めどなく兄を貪り続ける。

(もう、いやぁ……っ 狂うっ 狂っちゃうぅっ)

 締まり続ける膣壁が、中の匠海の硬さを脳へとダイレクトに伝えてくるのが辛い。

 ほとんど動かされないのに、ごりごりした質感と腰にずしりとした重量感を感じ取ってしまう、貪欲な自分の粘膜。

 ぼろりと零れた熱い涙と、「ひっく」としゃくり上げるヴィヴィの泣き声。

 それに気づいた匠海は、やっと肉芽を擦っていた指を止め、妹の抱えている枕を取り上げた。

「ふ、泣き顔も可愛いな、ヴィクトリアは」

「……~~っ」

(この、変態っ!)

「泣いても駄目だよ。俺のこれ、覚え込みなさい」

(もう、充分っ 充分、覚えてるからぁっ)

 そう心の中で反論して涙に濡れた瞳できっと睨み上げると、匠海がヴィヴィの背中の下に両腕を差し込み、大切そうに持ち上げて胸へと抱き込んだ。

「はいはい、よちよち」

 ふざけた幼児言葉で泣いた自分をあやす匠海に、あまりにいらっとしたヴィヴィは涙も引っ込んだ。

 妹の性格を知り尽くしている匠海に、その掌の上で転がされる無力なヴィヴィ。

 頬に流れた涙をぺろりと舐め取られ、ヴィヴィはもう「なんなんだっ!?」と心の中で喚くしかない。

「……もう、終わり……?」

 腕の中からぶすっとした顔で睨み上げてくる妹に、匠海は意地悪く微笑む。

「そんな訳、ないだろう?」

(この、絶倫……っ! 変態……っ!)

 ヴィヴィが心の中で、そう口汚く兄を罵っている間に、匠海はヴィヴィを抱えたまま、ベッドヘッドへと移動した。

 そこへ幾つか枕を重ねて背を預けた匠海と、その上に繋がったまま跨らされたヴィヴィ。

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