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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第86章
(うん……「いいよ」……。
お兄ちゃんだったら、ヴィヴィに、何しても「いいよ」……。
だから、もう、聞かないで。
確認しないで。
ヴィヴィに委ねないで……っ)
苦しそうにぎゅっと閉ざされたヴィヴィの瞼の裏、以前見た夢の内容が甦る。
躰は昇り詰めて恍惚としているのに、その心は酷く冷たく凍え切っている――そんな残酷な悪夢。
(ああ……。あれは予知夢、だったのか……)
そう心の中で噛み締めながら、ヴィヴィは兄の白濁に躰も思考も白く染め上げられ。
そして意識を手放した。
ちゃぷんという水音。
自分の頬に触れる、濡れた指先。
そして躰を柔らかく摩ってくれる暖かな掌。
ヴィヴィが意識を取り戻した時、目の前にいたのは白い湯気を纏った匠海だった。
細長いバスタブの中、向かい合わせで兄の腰に跨り、その両脚で背を支えられていた自分。
ヴィヴィが気付いた事にほっとした表情をみせた兄は、妹の小さな顔に幾つもの優しいキスを落とす。
擽ったそうに微かに身を攀じるヴィヴィを、その胸に抱き寄せた匠海はその耳元で甘く囁いた。
「ヴィクトリア……、お前は “俺のもの” だよ?」
ヴィヴィはゆっくりと頷く。
「お前の気持ちいいトロトロのここも、“俺だけのもの” だよ?」
兄の暖かな胸の中で、ヴィヴィはまたゆっくりと頷く。