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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第87章           

(あ……、でも、そうか……。だから昨日、あんなにしつこかったんだ、お兄ちゃん……)

 一応、ヴィヴィにとって最愛の匠海を “しつこい” 呼ばわりするのもしょうがない。

 正直、匠海との最後の性行為には、翻弄されまくられた。

 少し思い出すだけで躰が火照ってしまうほど、ねちっこくて、淫猥で、……気持ち良かった。

「………………」

(……ヴィヴィもだいぶ、変態だな……)

 皆が美しくデコレートされたデザートを食べている中、ヴィヴィは低カロリーのフルーツ盛り合わせを食しながら心の中で肩を落とした。

 ディナー後はクリスと勉強し、楽器を弄ったヴィヴィは早々にベッドに入った。

 今日の早朝、匠海にいい様に玩ばれた事が昔の事のように感じる程、兄のいないエディンバラでヴィヴィはリラックスしていた。

 好きな人なのに、傍に居るのが辛くて苦しい。

 その矛盾した今の状況に、ヴィヴィは薄い唇からふぅと細い息を吐く。

(でも、冷静になって考えてみれば、

 お兄ちゃんは絶対にヴィヴィのこと……、捨てないんだ。
 
 だって、この世の中で、ヴィヴィとしか『近親相姦』出来ないんだもの……。
 
 そっか……良かった……。ヴィヴィ、お兄ちゃんの『妹』で――良かった――)

 そう悟ったヴィヴィは、ゆっくりと瞼を閉じ――その数秒後には、深い眠りの闇へと落ちて行った。








 8月15日――エディンバラ2日目。

 早朝5時からリンクへと来ていた双子は、練習を終えてフィットネスルームでストレッチをしながらも、その2対の灰色の瞳は大きなテレビモニターに釘付けとなっていた。

 日本時間8月15日 20時からスタートした、東京オリンピック2020の開会式。

 今エディンバラは昼の12時で、開会式が始まって1時間といったところだった。

「おっ! 我らがGreat Britainのお出ましだぜ~っ!」

 205か国の参加国中、115か国目に登場した英国の代表団に、フィットネスルームにいたリンクメイト達の中から歓声が上がる。

「日本は何番目~?」

(オランダのユニフォーム、可愛いな~。オレンジとブルーだ)

 ヴィヴィはテレビに見入りながら、隣にひいたマットに突っ伏したクリスに尋ねる。

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