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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第87章           

「ありがとう、ジェイソン……助かった……」

 クリスの礼に、ジェイソンはがしがしとその頭を撫でた。

「いいええ~」

 皆がワイワイ喋っている中、ヴィヴィは何だか嫌な予感がした。








 ヴィヴィのその予感は的中し、週刊誌に乗馬の観戦に来ていた双子の写真がでかでかと載っていた。

 観客席に隣り合わせで座る双子――その隣のカレンや他の生徒の目は、黒い線で隠されていた。

 会場を出たところで撮られた写真にも、沢山のクラスメイトや教師が映り込んでいる。

「まあ、学校行事だし。もし個人で観戦に行ってても、悪いことをした訳じゃないし。気にするな?」

 後日その週刊誌を囲んでチームミーティングをしていた時、牧野マネージャーはそう双子に言い聞かせた。

「はい。分かってるんですけど……。なんか、友達がこういう風に晒されるのは、嫌、です……」

 ヴィヴィが沈んだ表情でそう言うと、クリスも同じように頷いた。

「気持ちは分かるけれど、しょうがないわ……。BSTにも謝罪の電話をしておいたわ。『PTAからも何も言って来ないし、学校側としても何の問題もない』って言ってくれたから、あんまり気にしない事ね?」

「「……はい……」」

 記事自体は「受験で取材規制中の篠宮双子、お忍びで東京五輪観戦」といった、別に大した内容でもない。

 ただ “学校への取材はお断り” とスケ連を通して各メディアに通達しているのに、制服姿でしかも学校行事を無断で撮られてしまった事に対し、スケ連から雑誌社に今後は控える様、一報を入れて貰う事になった。

 9月1日に学校が始まり、双子は週刊誌に載っていた生徒達の所へ謝りに行った。

 ほとんどが幼馴染でもある3年生だったが、2年の生徒も映っておりそこにも謝罪へ行った。

「あんなの全然、気にしてませんよ! 目に黒線が犯罪者みたいだな~、とは思いましたけど」

 そう言って目の前を手にかざして笑ってくれた下級生達に、双子は救われた。

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