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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第88章                  

「はいは~いっ 衣装はもちろんこのケイトにお任せあれ!」

 フランスの服飾専門学校への進路を決めているケイトが、そう言って立ち上がる。

「よっ! 未来のトップデザイナーっ」

「ケイトに任せておけば、超安心っ」

 全員一致でケイトを囃し立てる。

「OK~。もちろん衣装は、クラスカラーの?」

「「「RED(赤)~っ!!」」」

 ケイトの呼びかけに声を揃えて答えた皆に、担任も誇らしげだ。

 10月9日の学園祭のちょうど1ヶ月前。

 双子のいる3年生のクラスは、その演目を考えていた。

「といっても、実際アイリッシュ・ダンスの授業があったのは、初等部~中等部だもんな。結構忘れてるかも?」

 BSTは特別継続授業として、アイリッシュ・ダンス(アイルランドのダンス)と何らかの楽器演奏を掲げている。

 そして皆が行おうとしているリバーダンスとは、アイリッシュ・ダンスを中心とした舞台作品のことを指す。

 アレックスの発した不安に、担任が口添えする。

「じゃあ俺の方から、サリバン先生に基本レッスンのお願いしとくわ。練習時間は基本、毎日1時間な?」

「え? 先生、個別学習が終わった人は、各自練習してもいいですか?」

 ヴィヴィが手を挙げて、担任に尋ねる。

 BSTの生徒はその進路があまりにもバラバラ過ぎるので、夏休み終了後の9月から卒業までは、個別学習にて授業スケジュールが組まれている。

 国内進学組で同じ科目を受験する者が寄り集まって勉強したり、留学組がTOEFL やIELTS(英語能力検定)を勉強したり、就職組は卒業修了課程を熟したりと、個々に分かれて行うのだ。

「いいよ。但し、毎回俺のところに成果を提出して、OK出した奴だけな?」

 担任のそのお許しに、皆が勢いづく。

「おっしゃっ! これでかなりの練習時間が捻出できるな」

「じゃあ、担当割決めるか。衣装はケイトで決まりで……。総監督、振り付け・構成、ダンスリーダー、タイムスケジューラー、等々」

 クラスリーダーがその手腕を発揮し、速攻決まった担当割で、ヴィヴィはマイクと一緒に振り付け・構成に、東大合格間違いなしのクリスが総監督になった。

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