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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第88章
「ん~……。上演時間は5分くらい?」
早速構成を考えることになり、ヴィヴィがそう提案すれば、マイクは頷く。
「だな。それ以上だと正直、練習が間に合わねえ」
何せあと1ヶ月しか練習期間がない。
「じゃあ、ソロとか数人のパートも入れて、最後の方を全員のダンスにするのは?」
ヴィヴィがそう言って首を傾げると、マイクはレポート用紙を取り出し、すらすら書き始める。
「あ、それいいな。じゃあ、男子のソロ → 女子全員のソロ → 男子全員の合流 → 男子全員のソロ → 全員一列でのステップ → その前で男女ペアのソロ……とかどう?」
そのマイクの構成に、ヴィヴィは瞳を輝かせる。
「うん、いいねえ~。音楽は後半で使って、前半はタップだけで聞かせるなんてのも、渋くない?」
「いいっ! すっげえいいっ!! じゃあ、ソロは誰にする?」
マイクもノリノリで、ペン先でコツコツと“ソロ”と書かれた場所を小突く。
「女子は絶対にカレン! めちゃくちゃ上手いし、唯一アイリッシュ・ダンスを続けてるしね?」
ヴィヴィはにっこり笑ってそう言う。
カレンは個人でアイリッシュ・ダンススクールに通っており、女子のダンスリーダーにも全員一致で抜擢されている程の腕前だ。
「同感。男子は? ん~、アレックスか……、クリスもいいけどな~。クリスは総監督もだから、キツイか?」
中等部迄のダンスの授業内容を思い出し、その2人が適任だとマイクは呟く。
「あ、じゃあ、最初のソロはアレックスで、最後の男女ペアの男子ソロはクリスとかは?」
アレックスは男子のダンスリーダーだ。
「ああ、いいな。それで行こう! お~い、カレン、アレックス、それとクリス~。ちょっといいか?」
マイクがソロ候補の3名を呼び、構成を説明すると皆快諾してくれた。
「仕事早いね~、構成の2人は」
アレックスがそう2人を褒めれば、ヴィヴィが笑う。
「うふふ~。でもこれからが大変。振付考えなきゃ。3人にもかなり頼っちゃうかも」
「もちろん。一緒に考えようね~」
カレンのその返事に、ヴィヴィは親友とハイタッチした。