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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第88章                  

「ね~、みんな~! 女子から採寸するよ~っ」

 衣装担当のケイトが、どこから取り出したのかメジャーと筆記用具を持ち、手を振っていた。

「おお、もっと仕事の早い奴がいたわ!」

 マイクのその突っ込みに、皆が大きな笑いに包まれた。

「楽しみだね……?」

 クリスがそう言って妹を覗き込めば、ヴィヴィは満面の笑顔で「うんっ!」と大きく頷いた。








 第1週目の予備校の模試『9月 基礎力』を受けたヴィヴィは、その数日後に届いた成績表を見て唇を尖らせていた。

「う~ん……。世界史Bと現代文……。もうちょっといけるかと、思ってたんだけど」

「今回は現代文、ちょっと難度高かったからね……。世界史Bは、まだ挽回の余地あり……」

 隣から成績表を覗き込むクリスのその評価に、ヴィヴィは素直に「はあい」と返事した。

「でも予想以上の良い点数……。良く頑張ったね……?」

 そう言って、妹の頭を撫でてくるクリスに、ヴィヴィは嬉しくてにんまりする。

「クリスも、なでなで~」

 ヴィヴィもクリスの金色の頭を撫でる。

 最もクリスは常に模試ランキングの5位以内には入っている超天才児なので、こんなことをされても嬉しくも何とも無いだろうが。

「ありがと……。じゃあ、書こうか……」

「うんっ」

 そう言って双子が取り掛かったのは、センター試験への出願手続き。

 記入例を見ながら出願票を書き終えた双子は、互いにトレードして内容に不備がないか確認する。

 朝比奈にお願いしていた検定料払込みの票を端に貼り付け、完成した。

「はあ……。いよいよか~」

「うん……」

 しげしげと出願票を見つめていた双子は、やがてどちらともなく勉強を始めた。









 第2週目に、予備校の模試『9月 東大本番レベル』を受けた双子は、それぞれ6月に続きA判定だった。

 文字通り飛び跳ねて喜ぶヴィヴィに、クリスは、

「慢心は、命取り……」

と釘を刺すのを忘れなかった。

「やっぱりこう結果がついてくると、模試受けるのも楽しいし、勉強にも身が入るね?」

 ヴィヴィがにこりとしてクリスを見つめれば、双子の兄は嬉しそうに頷く。

「そうだね……」

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