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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第88章
匠海は双子のクラスメイトともバースデーパーティー等で昔から交流があり、まるで弟妹のように可愛がってくれていた。
「えっ!? いいの? や~ん、助かる。今ちょうどみんな頑張ってるところで、ね?」
瞳を輝かせたヴィヴィは、隣のクリスを見つめる。
「うん。後20日位で、学園祭なんだ……。その準備で忙しくて、皆と休憩中に食べようか……?」
「学園祭? 今年は何やるんだ?」
匠海のその問いに双子は目を合わすと、嬉しそうに兄に振り替える。
「リバーダンス! 1ヶ月の集中特訓で、みんなで披露するのっ」
「へえ。高校最後の思い出づくりには、うってつけだな?」
興味津々に双子を見返す匠海に、ヴィヴィは笑顔で頷く。
「うん。クリスはね、総監督なの。しかも男子のソリストの1人なの」
「クリス、凄いじゃないか~」
匠海の賞賛に、クリスは恥ずかしそうに首を振る。
「ヴィヴィは、構成と振り付け……。ヴィヴィも、カレンと一緒に、ソリストすれば良かったのに……」
「ヴィヴィは裏方がいいの! マイクと振り付け考えるの、面白いしっ」
心底楽しそうにそう言ったヴィヴィに、匠海が笑う。
「そうだよな。ヴィヴィは何故か、昔から主役になりたがらないんだよな? 演劇でも敵役とか、やってたし」
「うん。変わった役の方が、目立っておいしいもんっ」
「うしし」と悪そうに嗤うヴィヴィに、クリスが瞳を細める。
「まあ、可愛いお姫様をやるより、面白い役のほうが、ヴィヴィらしいね……」
3人でワイワイ騒いでいると、匠海の私室の内線が鳴った。
五十嵐が出て、匠海を振り返る。
「外線に、ご主人様からお電話です。本社の件で、との事です」
「あ、クリス。そろそろおいとましよう?」
腕時計を確認したヴィヴィが、隣のクリスをそう促す。
「ね……。じゃあ、兄さん、ディナーで……」
双子が席を立つのを、匠海が笑顔で見つめて立ち上がる。
「ああ。悪いね、2人とも」
そこで別れた3人は、それぞれ私室に戻った。
ヴィヴィは私室のソファーに座り、再度プレゼントの中身を確認する。
衛兵のストラップを早速スマホにつけたヴィヴィは、またごそごそ中身を漁る。