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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第88章                  

 徐々に高鳴り始めた心臓に戸惑うヴィヴィなどお構いなしに、兄はもう好き放題で、下着の上から尖り始めた乳首をくりくりと押し潰してくる。

(あ゛~~……っ このままじゃ駄目っ またお兄ちゃんのいい様にあしらわれちゃうよ)

 心の中で頭を抱えているヴィヴィに、匠海がくすりと笑みを零す。

「ヴィクトリア……。シャツの上からでも、柔らかい」

 自分の胸を弄る兄の両手首を、ヴィヴィは咄嗟に掴んだ。

「……え、えっち……」

「ん?」

「触り方……えっち……」

(い、嫌でも気持ち良くなっちゃう……っ)

「そりゃあ、ヴィクトリアのおっぱいに興奮してるからね?」

(お……っ!? やぁっ ロンドンの最後の日も、そんなえっちな呼び方してたっ)

「そ、その呼び方、いやぁっ」

「ん? “おっぱい”って可愛くないか?」

 面白そうに顔を覗き込んでくる匠海に、ヴィヴィの頬が火照る。

「か、可愛くないよ……っ あ、やぁんっ」

 胸から手を放した匠海に両腰を掴んで持ち上げられ、そしてあろうことか小さな胸に兄の端正な顔をうずめられた。

「あ~。気持ちいい……。ヴィクトリア、いい香りする。学校でシャワー浴びた?」

 高い鼻梁と頬をヴィヴィの乳房に擦り付けてくる匠海は、目蓋を閉じてうっとりとしていた。

「え、あ、うん……。ダンスの練習で、汗だくになって」

(っていうか、学校でシャワー浴びておいて本当に良かったっ 汗だくだったもん。……って、そうじゃなくてっ!!)

「そうか……。ずっとこうしていたいくらい、気持ちいい……」

 すりすりと頬擦りされ、シャツの上から兄の大きな唇でぱくりと咥えられ、ヴィヴィの鼓動はもう五月蠅いほどどくどく脈打っていた。

「も、もう、やめて……? ヴィヴィ、谷間なんて、ないし……」

 絞めているネクタイが谷間に落ちるほど胸があれば、匠海に触れられても嬉しいかもしれないが、小さな自分のものでは顔を埋められても申し訳なくなってしまう。

「そんなものいらないって。お前のおっぱいは、凄く柔らかくて形も綺麗だよ?」

 そう言って上目使いに見上げてくる匠海の顔が物凄く婀娜っぽくて、ヴィヴィの恥ずかしい所がきゅんと疼いた。

「そ、そんなこと、ないもん……」

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