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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第88章
いつもヴィヴィの意志など無視して、本当に嫌だと言っても無理やり奪ってきた兄。
まさかこんな事を言われるとは予想だにしていなかったヴィヴィは、固まったように兄を見上げるしかなく。
「どうしたい? ヴィクトリアの言う通りにするよ」
そう自分の意思を尊重しながら優しく頭を撫でられれば、ヴィヴィだってやはり心が動く。
(ヴィヴィの気持ち、汲んでくれるの……?
ヴィヴィの意思、尊重してくれるの……?
それって……、それってヴィヴィの事、
都合のいい抱き『人形』って、思ってないから、だよね――?)
そう縋るように兄を見詰めれば、返されるのは心底愛おしそうに細められた匠海の瞳。
とくり。
久しぶりに疼いた、兄に対する恋心。
ヴィヴィは、それを大事にしたい――心からそう思った。
おずおずと開かれた薄い唇から洩れたのは、紛れもない肯定の言葉。
「……ちょっと、だけ、なら……」
「本当に? いいのか?」
心配そうに見下ろしてくる匠海に、またヴィヴィの心がとくりと鳴る。
「……う、ん……」
「嬉しいよ、ヴィクトリア……。じゃあ、クリトリス、可愛がらせてね」
親指をぺろりと舐めた匠海は、ヴィヴィの紺と赤のタータンチェックのスカートの中に手を忍ばせた。
膝までずり下げられていた下着。
露わになった小さな肉芽に軽く触れる、兄の濡れた指先。
「はぅ……っ あ……っ あ、あぁんっ」
早々に零れ始めたヴィヴィの甘い吐息に、匠海が嬉しそうに微笑んでくる。
くるくると指の腹で優しく転がされると、そこから広がるのは目も眩むほどの愉悦。
本当に小さな尖りなのに、もたらされる甘い刺激は、白いシャツとブラで隠された乳首までをも硬くしこらせてしまうほど。
そして――、
「あっ ぁあんっ はぅ……、や、やぁ……っ」
ヴィヴィの零す喘ぎに、含まれたのは、微かな否定の言葉。
「ん? 嫌?」
すぐにそれに気づいた匠海が、肉芽を弄っていた指を止めた。
そうじゃない。
そうじゃなくて。
籠り始めた熱が燻り続けるのが苦しくて、ヴィヴィは匠海のシャツを両手でくしゃりと握り締める。
「……――、い、意地悪、しない、で……?」
掠れた声でそう言い縋れば、返されたのは少し悪そうに微笑んだ匠海の顔。