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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第88章                  

「ああ……、なんて可愛いんだろうっ」

 叫ぶようにそう発した匠海にぎゅうと抱きしめられ、ヴィヴィは自分の全てを兄に預けた。

「ヴィクトリア、ここ、気持ちいい?」

 ゆっくりと腰を揺らされ、ヴィヴィはこくりと頷く。

「これは?」

 深く挿入された亀頭で、くにと感じるところを抉られ、ヴィヴィはこくりと頷く。

「……いぃ……っ」

 兄の耳元で小さくそう囁いたヴィヴィを、匠海が拘束を緩めて覗き込んでくる。

「……――っ あんまり俺を煽るなっ」

 切なそうに自分を見つめてくる兄の瞳。

 下手をしたら匠海のほうが泣き出しそうだ。

 ロンドンでも感じていた違和感が、また頭の中に浮上する。

 二人の立場が逆転したかのよう。

 心の中身を互いに取り違えてしまったかのよう。

 まるでヴィヴィに恋焦がれているような匠海と、そんな兄を全く何とも思っていないような妹の自分。

「……お兄、ちゃん……?」

「ん?」

「ヴィヴィ、が、欲しい……?」

 思わず確認してしまったその問いに、匠海はすぐに頷いて返してきた。

「ああ。お前の全てが欲しいっ」

 その兄の答えに、ヴィヴィは息を飲んだ。

(……おにいちゃんっ)

「……――っ ヴィヴィも、欲しいっ」

 ヴィヴィは意識して膣内の兄の陰茎を締め付けた。

 自分が『妹』だから、欲しいのかもしれない。

 『近親相姦』が出来るから、自分が欲しいのかもしれない。

 けれど今、目の前の匠海は、本当に心から自分を求めてくれている。

 そう思えたから、ヴィヴィも今すぐ兄が欲しくなった。

「――っ どんだけ可愛いんだっ ヴィクトリアっ」

 今だけは忘れよう。

 何も考えず、兄だけを感じよう。

 だって自分も欲しい。

 匠海の全てが欲しい。

 馬鹿でもいい。

 騙されていてもいい。

 今、まさにこの目の前にいる兄の頭の中には、絶対に自分以外はいないから――。

「おにいちゃん……、もっと……」

 甘えた声で兄を誘惑し、美しい首筋に鼻を擦り付け、唇を寄せる。

(早くちょうだい? お兄ちゃんを、ちょうだい……?)

「ヴィクトリアっ お前の柔らかいここを一杯突くよっ」

 妹の腰を掴んだ匠海は、己の張りつめた陰茎で、ゆっくりとヴィヴィの中を掻き回しはじめた。

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