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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第89章
それに後ろから抱きたいという事は、いつも通りヴィヴィの顔なんか見たくないから、そうするのではないのか?
だったら、こんな辛い体勢を取らされる理由も必要も無いだろう。
「駄目だ。顔見せてろ」
何故かそこだけは強固に主張してくる匠海に、ヴィヴィは内心首を傾げながら、次の策を試みる。
「……じゃあ、前から、抱いてくれる……?」
おずおずとそう言ったヴィヴィに、匠海は微かに瞳を眇めてこちらを睨んできた。
「…………、しょうがないな」
そう言い終わるや否や、匠海はヴィヴィの腰をひょいと抱え上げ、ベッドヘッドのほうへと頭を向け、あおむけに横たえた。
(うそ……。前から、抱いてくれるんだ……。『鞭』の日、なのに……)
ヴィヴィが心底驚いていると、匠海はヴィヴィの躰を跨いで伸し掛かってきた。
制服の白シャツの上、金色の長い髪が垂れていたのをゆっくりと払った匠海は、ふっと嗤う。
「ヴィクトリア……、お前、ブラしてないんだな?」
兄のその指摘に、ショーツだけでなくブラもしていなかった事を思い出したヴィヴィは、自分の胸を見て頬を染めた。
「ん……。恥ずかしい……」
(だってお兄ちゃん、ブラ着けてたら、怒るんだもん……)
「こんなに乳首立てておいて、恥ずかしいも何もあるか」
「あ、やぁん……っ」
白シャツをツンと押し上げているその先を、指で微かに触れられただけなのに、ヴィヴィの躰がびくびくと震える。
「どんだけ敏感な躰なんだ……。ああそうか、ヴィクトリアは淫乱だもんな?」
「……ヴィヴィ、い、淫乱……?」
哀し気な表情でそう聞き返してしまったヴィヴィに、匠海は何故か一瞬言葉を詰まらせた。
「……っ ああ、お前は本当に、淫乱で厭らしいよ」
「……――っ」
嘲る様な表情でそう繰り返されたヴィヴィは、ショックで匠海から視線を逸らせた。
「だが俺の前だけでそうなら、それも可愛いから、いい……」
「……え……? あっ あぁんっ だ、だめぇ……っ」
匠海の予想外の返事に、ヴィヴィはぱっと兄を見つめ返したが、間髪入れずにまた乳首を優しく撫でられてしまい、甘い声を上げてしまった。